高速バスで早朝、目的地に着くと、かなりへとへとになっている。
まずは、ゆっくり体を伸ばしたい。
道後温泉はその点、ぴったりだった。
レトロな建物の道後温泉駅の前では、
坊ちゃん列車とからくり時計が出迎えてくれ、
道後ハイカラ通りを歩いていくとすぐに本館が見えた。
わあ、すてき、時代劇の舞台みたいだね。
しかも、これは書割じゃない、本当に入って利用できるんだ。
道後温泉に来るのは3回目なので、システムはわかっていた。
休憩室と浴衣は使わず神の湯の入浴だけで、その後坊ちゃんの間を見学したい。
朝8時、風呂は空いている。
客は5人ほどで、タイミングにより湯を独占できる時間もあった。
大きな湯船がどかんとある。
真ん中に湯釜という寸胴の巨大なのが鎮座し、中央に神様らしき像。
これは大国主命かと思われる。
背景に、大国主命と少彦名が描かれている陶板がある。
それで神の湯というのかしらん。
横を見ると「坊ちゃん泳ぐべからず」と木札があって、さっそくふふっと笑う。
天窓から朝の光が差している。
さあ、体を伸ばして温めよう。
(3枚ともに道後温泉PR用素材)
湯釜に万葉仮名で知波彌布留と書いてあったので読み始めると、途中から何と読むかわからなくなった。
少なくとも竜田川ではなかった。
このことは公式サイトにも載っておらず、不明のままだ。
不明でいいのである。
旅でわかったことがある。
行ってみないとわからないことはたくさんある。
何でも画面を通してわかるなんてことは、ないほうがいい。
入ってすぐの廊下が私は好きだった。
道後温泉の由緒を描いた絵がかけてあって、
聖徳太子や一茶や一遍上人が湯に来ている絵があって、
聖徳太子もここにねえ、などと思う。
サウナとかジャグジーとか薬湯はなく、ととのうための椅子もなく、
わたしがよく行く銭湯とは違う雰囲気がある。
大国主命、聖徳太子、万葉集、
古い時代の日本とつながっている湯という感じが強くした。
言ってみればリアル『テルマエ・ロマエ』。
その後、坊ちゃんの間を見学する。3階は貸し切り休憩室が数室あるのみだが、見学といえば見られる。
早朝のため、ほかに客がいないので、貸し切りのようにここでゆっくりしてしまった。
売店では、バスタオルを買おうかどうかすごく迷った。
バスタオル1200円、フェイスタオル220円。
わたしは、新年から新しいバスタオルを下ろすことにしているが、
今年はまだ替えを買っていなかった。
もしよいものなら記念にここで買ってもいいのだが、
なにしろ着いたばかりで、これから数か所回るのに、持って歩くのも面倒だ。
どこでも買えるだろう、夕方、別館の飛鳥の湯泉にもいくし、そちらでもと思った。
思ったのが間違いで、これはここでしか買えないと後に知るのだった。
ネットでも売っていない。
わあぁぁああん!
なお、あとで別の理由があって買ったのだが、飛鳥の湯泉でタオルは600円でバスタオルは2000円だった。
実は本館、お買い得である。みかん石鹸も買えばよかった。
しかし、あそこであれを買っておけばよかった、という後悔もまた、よくある旅の楽しみかとも思う。
温泉内で写真を撮れない代わりに素材をDLできるサイトを用意してくれている。ありがたい。