アゲハチョウの幼虫を育ててみることにした(4)

アゲハチョウの幼虫を育ててみることにした(3)

続き。

※途中に虫の写真が出てきます。

棒でつついたら、ぴょっと黄色いツノを出した。
敵に襲われると出す臭角というものだそうだ。
アゲちゃん、怒ってるっぽい。
かわいい。

 

ぴょっ。

しばらくすると、すっとしまいこむ。

まだ、こわいので、素手でさわる勇気はなかった。
そこらにある棒で頭を触ると、
かぶっているマスクをちょっと上に脱いで、ぴょっとかたつむりの角みたいに2本出す。
隠していた素顔を見せてきた。
脱ぎかけのガチャピンは、ケロロ軍曹にも似ている。

マスクの下に、ほんとうの目がある。
プンプンおこって下の顔がふくれっ面になってるアゲちゃん。
マスクの表情も、心なしか、険のある顔に見える。
いつもはとっつあんぼうやみたいな童顔のくせに
怒ると、急に年をとったなまずみたいな顔になる。
こいつめ。

 

すぐにこれはなんでもないとわかったようで、
何回かやると、ツノを出さなくなった。
頭がいい。

最初頭をツンツンしてみると、ツノを出した。
次に、横っ腹をツンツンしてみる。またツノを出す。
もう一度、横っ腹をつつく。
もう怖くないとさとったのか、ツノを出さなくなった。
目の前に(黒いところじゃなくて、本当の目)、棒をゆらゆら見せつけてみたが、
反応はなし。慣れたのかもしれないが。
横っ腹を強めに押すも、反応はなし。
頭をぎゅっとしても、反応はなし。
息を強く吹きかけてみても、反応はなし。

なんだよ。やめろよ。もうこわくねーよ。
そんな感じもかわいい。

もう角を出さなくなったので、ツノと同時に臭い匂いを出すらしいのに、かげなかった。

わたしも、ツンツンやりすぎて、
アゲちゃんが嫌気がさして、引っ越しちゃったらどうしようと思ったので、
あまりしつこくはできなかった。

また明日にでも、ちがう手口でやってみよう。
頑張って、素手で触ってみるか。

ところで、脱皮したてと思われるときと比べて、
ずいぶん、緑の色が青味がかってきて、山椒の葉の色に近づいてきた。
肌もだんだんベルベットのような感じに。
食べる量も多い。
ただ、食べているときを目撃したことはない。
いつでも、枝の上に乗っているだけで、もぐもぐしているところは見ていない。
だから、あまり活動的には思えない。

こっちの枝を最初に食べきり、つぎに別の枝に移って、という感じで
あっちこっち食べ散らかすというのよりも、ある意味、食事のマナーが礼儀正しい。
フランス流である。
観察するほうとしては、うむうむ、一日でこれだけ食べおったな、とわかりやすい。

当初は、山椒を守るために、室内で柚子の葉で育てようと思っていたが、
蛹になる前の重要なときに
食べなれない食べ物をやって、ストレスを与えてはいけないんじゃないかなと思った。
なにこれ、うまい~~となってくれればいいけど、
こんなの食べられないわ、と痩せちゃったりしたらかわいそうだ。
このまま、うちの山椒で育てることにした。
山椒も、ちいさいとはいえ、まだ葉っぱはある。
もう数日だ、まあ大丈夫だろう。

最初はラーメン丼のようだと思った頭の模様、
よく見ると、馬蹄の形である。
ラッキーアイテムを頭に巻くとはおしゃれさんである。
クレオパトラのような髪飾りにも、
つながったまゆげのようにもみえる。