月別アーカイブ: 2019年10月

宝箱

レオ・レオニの技法についてWSをしたとき、「そういえば、みんなはこの材料、どうやってさがしたの?」と聞いてみた。

スタンプになりそうなもの、というのは子どもには難しい設問だと思ったから。

えぇっとね、家の中をウロウロしてたまたま見つけたの? それとも、あれがイケソウとまず思いついてから探しに行ったの?

すると一人の子が、自分は工作を趣味にしていて、材料になりそうなものをいつも集めている箱があって、その中から見繕った、という。

ナニソレ楽しい箱! 他の人には価値がわからないけど、これからすごいものになると自分だけは確信を持っている箱だ。自分がこれからすごいものを作り出すための原石たち。

宝箱だね、とわたしが言うと、彼女は、え、あ、うん、と照れる。わたしの宝箱はあれだよ、と、自分のアトリエの棚を指さす、使ったものとか使ってるものとか有象無象がごちゃごちゃとキチャナク置いてある。うふふふと二人で笑い合う。宝箱連盟。


子どもの頃、宝箱には拾ったものを入れていた。貝殻とかキラキラしたビーズとか。あるとき、公園の砂場で、見たこともないデザインのコインを見つけた。銀色で100円玉より少し大きくて、ピエロの顔が彫ってあった。外国のコインか、いや、魔法の国の貨幣に違いない! ドキドキしながらそっと持ち帰って箱にしまった。たまに開けて手の上に乗せたりしてけっこう長い間、少なくとも外国のだろうと思っていたけど、ずいぶん経ってからゲームセンターのコインだとわかった。夢から覚めた気がしたが、それでも、あのときのドキドキは忘れない。


友人が引っ越すという。彼女は紙を集めるのを趣味にしていて、コラージュ作品を得意としている。前に引っ越した時に、「こんな紙、カビちゃうんだからね!」と危うく家族に捨てられそうになったところを、「ヒャー!捨てないで―!大事なのー!」と追いすがったという。今回の引っ越しでももちろん持っていく。だってコレクションだから。

きれいな紙を集めるなんて、子どもみたいで、子どものままで、そういうところが彼女のすてきなところ。


亡父の書斎に来客があるというので、実家に帰って整理していたところ、「宝」と書いてある木箱があった。封がしてある。古そうだ。

これなに?と妹に聞くと、「これ、パパの。前に開けようと思ったら、急に重たくなって。きっとパパが開けてほしくないんだと思う・・・」妹はわりにそういうことを感じる人だから、それ以来、書斎に置きっぱなしにしておいたという。

私も父と妹を尊重して、そのままにしておこう。宝というネーミングが、なんともいい。そういうものを持っている人生って、なんだかいいものだ。

パパ、ちょっと動かすだけだからね、とつぶやいて、隅のほうに押しやった。

書斎には父の遺影がある。そこから見ているのかもしれない。

はじめての石けんづくり 猫バスせっけん

前回はこちら

はじめての石けんづくり その後

あれから油もいろいろ揃えて、本格的になってきた。

それでマルセイユ石鹸と最高に贅沢な石けんと、色付きのオリーブ石けんを作ったはずが、その中に一人おかしい人が、、、。

???

こっちはいいよ。いい感じにできてる。けど、あやつが入った途端、雰囲気がヘンテコに。

本当は生クリーム状の種を流し込むんだけど、種が早めに固まっちゃって、マッシュポテトみたいになったのをぎゅーぎゅー型に入れたらパウンドケーキ形になったのだ。

妹に見せると「モッソリして猫バスみたいね」と言う。まさに!

薩摩弁で言うところの「ゴッタマシイ」石けんができてしまった。

だけどこれ、油も3種類も使って、精油も黒蜜も入れたんだ、素材はいいもの使ってるんだ、悪口言うな、とかばうようなことを言いながら内心「謎石けん」と思ってる。

そしていよいよ、カットすることにした。

「猫バス」は焼芋になっておる。

台風の夜

うちは川の隣りだというのに、後から考えればずいぶんのんきにしていて、昼はワークショップの打ち合わせや資料づくりをし、夜は石けんづくりをして、ちょうど10:30ごろは雨も上がったしPCでドラマを見ようなんて思っていた。ついでにチラッと川の水位のウェブページを開けたら、さっきまでオレンジだったのが急に赤く色が変わって「氾濫注意」になっていた。
それまでは、みんな大げさなんだよ、と思っていたし、雨がやんだからもういいだろうなんて思っていたんだろう。

「ちょっと川を見てくる」と出かけると、ふだん見ないような高さに水が光っていて、ぎょっとした。すぐ足元の先まで水がタプタプと迫っていた。あれ川か? 暗くてよく見えないが、どう考えてもおかしい。ふと気配に振り返ると、パトカーが音もなくゆっくり徘徊していた。避難してくださいとゆっくり静かに呼びかけていた。もう残っている人はいないことを確認しているかのような不気味な雰囲気に、あたりを見渡すと隣家の明かりは消えている。その前の家も、その隣りの家も人気がない。みんないつのまに避難してしまっていたのか。妙に静まり返っていた。私たちは、完全に取り残されてしまっているのだった。

あの水がこのまま押し寄せてきたら! 今、命が危険にさらされているのだという気持ちが突然湧いてきて、静かに震えてきた。『風が吹くとき』の老夫婦のように、家にこもりっきりで外では大洪水が近づいているのにも気づかずにいたんだ、と思った。

川が氾濫したらもう逃げようがない。この数分の判断が命を分けると思うと、うまく物が考えられなくなった。もう避難場所に行くのはあきらめよう、それより今すぐ2階へ避難しよう。この判断は正しいのか。

震えが収まらないまま、大事なものを2階に上げておこう、大事な物ってなんだ? 布団が濡れたら面倒だとか、PCが壊れたら高価だから買えないとか、そういう、大事かどうかじゃないことばかり気になった。床上浸水したら後始末が大変そうだなあ、この材料が水没したら明後日のワークショップができなくなる、命が危険だというのにそんなことを考えている自分が、なんだか滑稽だった。滑稽だったと思い返せればいいのだけど、とも思った。

1時間ぐらい、荷物を運んだりしているうちに少しだけ落ち着いてきた。たぶん雨がやんだせいで、時がゆっくり進み、焦りが少なくなった。でも、雨がやんだのに、水位はさらに上がる予測だった。何が起こっているのだろう。荒川に流れ込めない水がたまっているのだろうか。2駅先に住む家族は雨が上がって一安心していたのに、こちらは今が正念場になっていた。

荷物を2階に上げる途中も、水位のウェブページを更新し続けた。10:50に氾濫注意になっていた。それがさっきだったのかとわかる。その後もじわりと上昇している。雨はもはややんだ。だが、川の様子だともう50センチも上がれば、道に水があふれてくる。水はゆっくりと確実に命を奪うだろう。思うだけで息苦しかった。引いてくれ、と祈った。更新のボタンを押す。まだ下がらない、上がっている。数字をカウントする。もう、あと少し上がったら。いや、水位が下がった。万歳。助かるか!

水位の数値はそれとして、もう一度川を見に行こうと思った。余裕が出てきたのか、少しやじうま的な心境になっていた。見ると、さっきよりは下がっているようだ。ふわふわした身体の重心が元の位置に戻ってきた。

少し、歩いてみようか。

あんなに雨が降っていたのに、夜中、月が照っていたのを覚えている。周りは住宅の明かりがなくて、人気がなくて、月だけがいやに明るくて、私しか世界にいない、そんな気がする静かな夜だった。みんなどこかへ行ってしまったとさっきは思った。でも、ああ、2階の窓に明かりがともってる、あそこの家も。みんな2階にいたんだ。

命というのは形がない。どうとらえてきたか、それは生きる期間だった。あと何年とかそういう。だが、水でゆっくりと失われていくと思ったとき命は、今の瞬間の呼吸だった。

疲れているのにすぐには寝られなくて、といって何かをする元気はまったくない。寝たのはもう明け方だった。

そんななかでも、カットした石けんだけは、テーブルの上に広く陣取ったままだった。なんとなくそれも滑稽に思えた。

増水した川 夜中で一瞬目を疑った

フィンガーペインティングWS 実施報告 速報

植物園のイベントで子ども向けのWSを実施しました。以下、速報としてお知らせいたします。

名称 原口比奈子フィンガーペインティング「みんなの手形で大きい木を描こう」
日付 2019年10月14日(月・祝)
場所 川口市立グリーンセンター
主催 川口グリーンフェスティバル2019実行委員会

 

植物園の芝生にテントが張られました。
園内の木々も紅葉し始めて、キンモノクセイの香りもただよっています。
秋めいてきました。

高さ2m全長12mの壁に、幹だけの木が10本。
これに参加者が手形で葉っぱを描き加え、絵を完成するというワークショップ。

作家がテント内の壁ぐるりに木を描きました。

 

まだ幹だけ描かれた木。

 

さあやろう!

絵の具のつけかたは「片手でちょんちょんちょん、両手でスリスリスリ、ペタペタペタ」。

高いところも、低いところも、手の向きも変えて描いてみよう。


 

はじめはこんな感じの木が、、、

だんだんできてきた!

こちらも、

この通り!

最後は、こんな絵に。壁に10本の木が完成! きれいな秋の森ができました。

WSのスタッフみんなもペタペタ描いたよ。

フィンガーペインティングWS「みんなの手形で大きな木を描こう」

フィンガーペインティングWS「みんなの手形で大きな木を描こう」を実施しました。

気候がよくなってきたから、屋外で身体いっぱい使って大きな絵を描くのは気持ちいいね。

絵の具を手のひらにつける。最初はこわごわ・・・。
わ、ニュルッとしてる! 冷たい!

手のひらで葉っぱ体操。

パーにして「モミジ」、指を全部閉じて「ケヤキ」、親指だけ開いて「イチョウ」。

最初は黄色の「イチョウのポーズ」 みんなやる気満々。

自分の背より高いところに絵を描くの、楽しいね。身体全体を使って、絵を描こう。

最初は遠慮気味だったみんな、だんだんペインティングが大胆になってきたよ。

おおっ、絵も激しくなってきたよ。 どんどんやっちゃえー!

 

はじめは枝だけの木が、、、

こうなって、、、

こんな木になったよ! 燃えるような木。葉っぱが重なって「大きな木」のできあがり。

尊敬するムナーリと同じように木を描くWSができてうれしい。

10月、植物園のイベントでもフィンガーペインティングのWSを実施する予定です。


グリーンフェスティバル2019(川口市グリーンセンター)http://greencenter.1110city.com/

【親子で「楽しむ」フィンガーペインティング教室】
原口比奈子フィンガーペインティング「みんなの手形で大きい木を描こう」

日付 2019年10月14日(月・祝)
時間 ①11:00~11:45 ②13:00~13:45 ③15:00~15:45
費用 500円
定員 各回20名
未就学児は必ず保護者が付き添ってください(付き添いの保護者は無料)
子どもから大人までどなたもOK
汚れても大丈夫な服装でご参加ください