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東京メトロ24時間券でいく「東京十社めぐり」

よし、東京十社めぐり、いくか!と思い立ったのが、年末。

祓えの意味も込めて、行ってみよう。

東京十社とは以下の通り。

東京十社めぐり http://10jinja.tokyo/

各神社で授与しているミニ絵馬がかわいいと評判。
これは、王子神社の社務所に飾ってあったもの。
行ってみると、それぞれの神社の特徴が版画にしたデザインですてき。


行くまで、どう回ろうか、路線図とにらめっこする日々が続いた。

体力も落ちてるし、2日ぐらいかけて行こうと思っていたが、

当日、予想外にすいすい行けた。

それで、いまのところ、「これだ!」と思っているルートを公開する。

優先順位は

(1)東京メトロの24時間券※を最大限使い費用を抑える。
できるだけ他社線、バス、タクシーは使わない

(2)できるだけ同じルートをなぞらない。
X駅-Y駅を往復する際にも、行きはX-A-Y、帰りはY-B-Xを通る。
一筆書きするイメージ。
(違うルートのほうが楽しい ときに迷うことも)

※現在600円 2025年3月15日より700円に値上げされる予定

結果、

もっとも安い・・・1,380円
少し楽で早い・・・1,621円
(2025年1月末日現在)

図を作り始めたらけっこう時間がかかって、

半日かかったところで、ナニヤッテルンダと我に返ったが、乗りかけた船と続けた。

これを、こう回る!

ルートの取説

★このルートのよい点は、円になっていることである。
円になっているので、どこからスタートしても良い。
今回は便宜上、王子駅からスタートしているが、
行きやすいところから始められる。

★朝9時にスタートして、17時にゴールにたどりつくこと、
本殿参拝のみを想定したルートである。
駆け足ではないが、ゆったりしている暇はない、ぐらい。

★徒歩の時間は、「東京十社めぐりのしおり」(各神社で配布されている)を参照した。


1)王子神社
王子駅
↓徒歩3分
王子神社

近くには、江戸時代からの花の名所の飛鳥山あり。
最近、この町は渋沢栄一で盛り上がっている。住まいと創立した王子製紙があったから。
飛鳥山には晩香廬(ばんこうろ)と青淵文庫(せいえんぶんこ)という別邸が残されている。


2)白山神社

王子神社
↓徒歩3分
王子駅
↓南北線6分
本駒込駅
↓徒歩7分
白山神社


近くに住んでいた孫文の碑。「先生」と書いてあるのがいいねえ。


3)根津神社

白山神社
↓徒歩16分
根津神社

つつじの名所。千本鳥居も有名。
お天気で、近所の幼稚園の子たちがお散歩に来てた。

根津駅のそばで、金太郎飴屋さんを発見。
小箱がずらっと並んでいて、ガラス戸のつまみを上げて飴を取る、昔ながらのお店。
え、今って、令和だよね、と思う。よいおみやげに。


4)神田明神

根津神社
↓徒歩5分
根津駅
↓千代田線3分
新御茶ノ水駅
↓徒歩5分
神田明神

偶然にも、祓え式をやっていたので、わたしも参加。
巫女さんの舞が美しい。清らか、とはこういうものか。
すっかり祓われて、いい気分に。
神田明神は年末の祓え式をyoutubeでライブ配信するらしい。遠隔で祓われるのか、すごいな。
参道では甘酒を売っている、おいしそう。


5)亀戸天神社

神田明神
↓徒歩5分
御茶ノ水駅
↓総武線10分 167円
亀戸駅
↓徒歩15分
亀戸天神社

※優先順位(1)としては東京メトロを使うところだが、
亀戸駅からの風情ある町並みが捨てがたいので、
ここは(2)を適用しJR総武線(黄色)を使う。

東京メトロならば以下のルートだが、
乗換もあるし時間もかかる。(赤の点線・紫の点線と実線)

神田明神
↓徒歩5分
御茶ノ水駅
↓丸ノ内線3分
大手町駅乗換
↓半蔵門線12分
錦糸町
↓徒歩15分
亀戸天神社

藤棚が広い!
境内で「♪てんじんさまのーほそみちじゃー チンチロリン」と音楽が鳴っていて、
口ずさみながら参拝。
本殿の向こうに、スカイツリーが見えた。

神社の周りには、おもち屋さんや甘味処があって、そそられる。
お祭りに使う道具関係の会社なんかもあって、ここの土地ならでは。

6)富岡八幡宮

亀戸天神社
↓徒歩15分
錦糸町駅
↓半蔵門線10分
三越前駅乗換
↓銀座線1分
日本橋駅乗換
↓東西線3分
門前仲町駅
↓徒歩3分
富岡八幡宮

さすが深川、横綱力士碑と大関力士碑がある。
近所に住んでいた伊能忠敬の碑も。ここから地図作りの旅へ。

読みは、鳥居に「富ヶ岡八幡宮」とあるから混乱したけど、「とみおか」でいいみたい。
公式サイトがtomiokaとある。
疲れてきたなあ、境内にベンチがたくさん。
展示してある純金の神輿を見ながらひとやすみ。
「深川八幡祭り」、日枝神社「山王祭」、神田明神「神田祭」、あわせて江戸三大祭り。


7)芝大神宮

ルートA(ピンク)
富岡八幡宮
↓徒歩3分
門前仲町駅
↓都営大江戸線10分 220円
大門駅
↓徒歩4分
芝大神宮

ルートB(ブルー・オレンジ点線・黄緑)
富岡八幡宮
↓徒歩3分
門前仲町駅
↓東西線3分
日本橋駅乗換
↓銀座線4分
新橋駅乗換
↓JR山手線3分 146円
浜松町駅
↓徒歩5分
芝大神宮

※ここは時間か予算か悩ましい。

A:都営線を使えば門前仲町駅から大門まで1本で行けるが、乗車10分、220円、徒歩2分。

B:東京メトロとJRだと乗車3本乗り換えが煩雑、146円、徒歩5分。

最寄駅から神社まで歩くのに、こんもりした森をさがすといい。
だけど、芝大神宮だけは通用しない。うっかり増上寺にいってしまう。
芝大神宮は、東京タワーを見上げる都会の、
飲食店が立ち並ぶ通りのこんなところに?と思う角を曲がると
いきなり参道がある。


8)品川神社

芝大神宮
↓徒歩5分
浜松町駅
↓JR山手線6分 167円
品川駅乗換
↓京急線3分 150円
新馬場駅
↓徒歩1分
品川神社

優先順位(1)と(2)を適用すれば、
往路復路どちらかは品川駅から徒歩で行きたいが、
グーグルマップによれば20分かかるというし、
ここまでわりと疲労がたまってきている上に、
最後に日枝神社から氷川神社まで歩くことを考えると
なるべく体力温存、時間もとっておきたい。
よって同じルートで戻ることにした。

優先順位(1)のため、バスを使うことは考えてなかったが、
バスもあるみたい。点線で示した。

第一京浜に面した、海を見下ろすところに建っている。
海が近いから鳥居に巻き付いた龍も強そう。

本殿に年末の大祓えのためのヒトガタが置いてある。
からだじゅうを「いいこ いいこ」と撫でて、名前を書く。
よかった、これで来年も大丈夫。


9)日枝神社

品川神社
↓徒歩1分
新馬場駅
↓京急本線普通3分 150円
品川駅乗換
↓JR山手線8分 167円
新橋駅
↓銀座線
溜池山王駅
↓徒歩5分
日枝神社

日枝神社こそ、都会のど真ん中に建っている。首相官邸がおとなり。
石段にエスカレータが設置されている箇所もあるそうだ。
こちらも千本鳥居が有名。
江戸時代、山王祭は神田明神の神田祭とともに将軍が上覧する天下祭。
有名な山車は、浮世絵にも描かれている。さいたま市岩槻の人形博物館で観たもの。

歌川芳藤「東都日枝大神祭礼練込図」


10)赤坂氷川神社

日枝神社
↓徒歩17分
赤坂氷川神社

深い森に囲まれた神社。
六本木にこんな森が?と思うほど。
おちついた気分に。
勝海舟は維新後、このあたりに住み、『氷川清話』を残す。
こちらは、勝海舟によって名付けられた
四合稲荷(しあわせいなり)。
幸せになれそう。

日枝神社から赤坂氷川神社までは歩く途中にこんな像もあった。
勝海舟坂本龍馬の師弟像。


ここでゴール!

帰りは溜池山王駅から、南北線で本駒込駅に行くと、
ちょうど皇居を円で囲んだことになり、
偶然にも、「東京十社めぐりのしおり」に近い図になる。

東京十社めぐりのしおりは各神社で無料で配布されている。


正月に、根津で買った「えと飴」と、お汁粉を食す。よい新年に。

椿とこの次の旅行-新春道後温泉旅行(14・完)

旅程をあれこれ考えていたときに候補に挙げたのが、今治市小島(おしま)「芸予要塞」だった。

外周3㎞の小さな島に、日清戦争当時、旧日本軍が築いた海岸要塞がある。

現在、弾薬庫跡や砲台跡が見学できる。

今治地方観光協会 https://www.oideya.gr.jp/oshima/guide/index.htm

木々が茂り無人となったレンガ積みの遺跡は、そのままラピュタの忘れ去られた世界と聞いていた。

しまなみ海道に行ってみたいというのもあったし、ラピュタは大好きな映画。

今治駅から徒歩20分、波止浜(はしはま)港から1日7本、フェリーが出航している。

だが、松山から今治へ、さらに渡船。これは半日はかかりそう、苦渋の判断であきらめた。

インスタを見たり、フェリーの時刻表をにらんだり、
何度も机上旅行をするうちに、どうやら島内に椿の道があるらしいことを突き止めた。

今の時期はきれいだろうなあ。

また今度来た時に。


松山市内を歩くと、椿の木がそこここに植わっている。

マンホールにも椿の花。

市花になったのは、

聖徳太子が温泉に来た際に、椿の木が茂って温泉を取り囲んでいて、との碑文を建てたため、とのこと。

松山市 聖徳太子の来浴 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/kankomeisho/dogoonsen/rekishi/taishi.html


椿の花がモチーフになった松山市のマンホール


飛鳥の湯泉の前庭にも大きな椿の木が幾本もあり、一番盛りの花を楽しんだ。


おっこっちは満開だと思ったら、手前の椿の花は造花だった。でもおかげでいつ行っても赤い花が迎えてくれる。


市内で配布している小冊子「松山百点」

こちらの表紙もちょうど椿だった。

おいしそうな鯛そうめん。じゅる。このお店、行ってみたかったなあ。

もう家に帰ってきてしまったよ。

松山百点 新春号vol.360 https://matsuyama100ten.com/archives/3d-flip-book/360

松山百点 https://matsuyama100ten.com/

道後温泉別館 飛鳥乃湯泉ー新春道後温泉旅行(13)

いよいよ、この旅行も終わりに近づいてきた。

夕方、梅津寺から帰ってきて、再び道後温泉駅へ路面電車でゆく。

道後温泉は3館あるのだが、今回時間の都合で、2館のみ行くことにした。

別館の飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)へ。

すっかり夜になり、明かりがともっている。

聖徳太子や斉明天皇も訪れたと言われる道後温泉の伝説から、

飛鳥時代の建築様式で建てられた温泉、ということで、

飛鳥は、あすか、と読むのだが、

ちょうど母が『飛鳥(ひてう)』というタイトルの歌集を出したので、

漢字が同じだからフェイスタオルをお土産に買うことにした。


歌集のタイトル「飛鳥」は、王維の五言絶句から採っている。

家族を亡くし、秋の山に鳥が飛ぶのを見ると物悲しさがいよいよ増す、という意味の漢詩だが、

うちの家族は、鳥を見ると亡父を悼む挽歌である歌集のことを思う習慣ができている。

 

太古の昔、白鷺が傷を温泉で癒した伝説があるため、

道後温泉にはそこここに白鷺がいて、ここにも。

飛鳥(ひちょう)としても、うまい具合だ。

道後温泉別館 飛鳥乃湯泉 https://dogo.jp/onsen/asuka

夢の蛇口みきゃんジュースー新春道後温泉旅行(12)

今回の旅行で、大変に楽しみにしていたのが、

例の「蛇口みかんジュース」である。

松山市には蛇口をひねるとみかんジュースが出る場所があるとか、

月に1度、小学校の蛇口からみかんジュースが出るとかの都市伝説を、現実にしたもの、

というアレである。

どうしてもやってみたい。

それで、みきゃんパークに行くことにした。

たーのーしーみーすーぎーるーー!

「みきゃんパーク梅津寺(ばいしんじ)」はジュースを加工する過程を見られる加工場、土産屋、カフェである。

おっ、さっそくあるぞ、蛇口があるぞ。

やってるひともいるぞ。

わたしもやりたい、わたしもやりたいぞ。

 

いざ!

蛇口の下にコップをあてがって、、、

蛇口、ひねるよ!うわああ出てきたー!

満杯まで入ったー!!!

わりと大きめの蛇口で、

あふれたらどうしようと思ったが、

ジャジャーっと出るようにはなってなかった。

私の前にも外国人の若いカップルが蛇口ジュースをきゃっきゃっと楽しそうにやっていた。

そりゃ、そうだよ、蛇口からジュース出てきたら、そりゃうれしいよ。

しくみとしては、ソフトクリームみたいなものだけど、

自分でひねるっていうのが楽しいんだよなあ!!!

 

2階のカフェの窓からは瀬戸内海が見える。絶景。

この日、松山では初雪が降って、だから、空がなんだかすごいことになっている。

そして、みきゃんジュースはすごくおいしかった。

じゅぅううと飲んだらすぐになくなってしまった。

 

みきゃんパークの壁、
みきゃんが、坊ちゃん列車に乗ったり、伊予鉄高浜線に乗ったりしている。

みきゃんはかわいい。

オレンジ色なのもかわいいし、

ほっぺたが柑橘の肌っぽくブツブツがあるのも、

おなかがポコッと出てるのも、

しっぽがみかんの白い花なのも、

みんなかわいい。

秋山兄弟だ、子規だ、漱石だ、と騒いでいたこの旅行だが、

結局、みきゃんパークがいちばんウキウキしてたかもしれない。

動画を撮ったので、何度もニヤニヤしながら見ている。

みきゃんパーク梅津寺 https://mican-park.jp/

萬翠荘ー新春道後温泉旅行(11)

萬翠荘(ばんすいそう)は、旅程にはなかったが、

漱石珈琲店に行くのに同じ敷地内にあったので、寄ることにしたのだが、

非常に美しい建物で、大変よかった。

松山藩主の子孫である第15代当主久松定謨 (さだこと)伯爵の別邸、とのことだったが、

フランスに陸軍武官として15年駐在後、帰国して建てた本格フランス様式で、とここまで読んで、

あれ、と思う。

殿様が渡仏するに伴い、

随行として好古はフランスに行くことになり、

かの地で騎兵の研究を進めていたのではなかったか。

それで当初は私費留学という形だった。

ここもゆかりの地と思い、見学した。

子規記念博物館の展示の中で、

幕府と近かった松山藩(松平家で、当時の藩主は慶喜のいとこだった)は、

維新で無血開城はしたものの、藩主は蟄居、

朝敵の汚名を着せられ、賠償金も支払い、当地は非常な苦労があった、

というのが印象に残った。

それを踏まえると、

萬翠荘には、昭和天皇皇后が縁戚になった縁で何度も訪れたという事実は、

大変な汚名返上になっただろうと思われる。

半島一利による、幕末に朝廷側だったか幕府側だったかでその土地の人々の考え方が違うという説をふと思い出す。

定謨は国の管理になった松山城の払い下げを受け、

4万円(現在のおよそ4億円の価値)の維持費を添えて松山市に寄付したと、

松山城のウェブサイトにある。

松山市民の深い尊敬を感じる。

 

萬翠荘の敷地内に愚陀仏庵が移築されていたが、

数年前の土砂崩れで全壊、

別の場所に再建するプランが発表された(2025年1月)。


松山城 https://www.matsuyamajo.jp/discover/history.html

萬翠荘 http://www.bansuisou.org/

好古と真之 信さんと淳 − 新春道後温泉旅行(10)

松山市内に「秋山兄弟生誕地」があるので、いつか訪ねてみたいと思っていた。

松山城からリフトで下り、ロープウェイ街を歩いて少し行く。

子規も給付生になったときが人生の三大うれしいことの一つと挙げている、

常磐会の流れを汲む常盤同郷会が管理している。

『坂の上の雲』を読んでいて、そうなんだなあと思うのは、

当時は幼名がある、ということだ。

それぞれ、好古は信三郎、真之は淳五郎。

好古が真之のことを「淳を寺ィやっちゃいやぞね」と言ったり、

成人しても母親は淳と呼んだりする。

今の感覚だと不思議だが、名前が違うと小さい兄弟の姿が浮かぶようである。

信さんと淳がここでね、と思いながら見学した。


梅津寺に行ったのは、瀬戸内海を見たいというのがあったが、

もう一つ、秋山兄弟の銅像があるからでもあった。

地図で見ると、松山と呉とは本当に近いんだなあと実感する。

瀬戸内海を挟んで向かいである。

呉の軍港が近いこの地で、村上水軍の研究をした真之のことを考えた。

秋山兄弟生誕地

梅津寺公園

子規と漱石 愚陀仏庵のふたりー新春道後温泉旅行(9)

松山市立子規記念博物館は道後温泉のそばにある。

館内には、子規と漱石が2か月足らずをともに暮らした

愚陀仏庵(ぐだぶつあん)の再現が展示されている。

このあとに行った萬翠荘(ばんすいそう)には、模型が展示されていた。

愚陀仏庵が移築されていると聞いたが、どこにあるのだろうときょろきょろしたが、

きけば、数年前の土砂災害で、失われてしまったそうだ。

(なお、別の場所での再建プランが後日発表された)

2階にいるのが漱石、1階に子規がいる。

「おたのみぃ!」と呼ばわって、子規の友人たちが俳句の会にやってきたのが、

ここか、と思いながら見る。

当初、どうして文学館といわないのだろう、と思っていた。博物館とは…?

だが、見学してわかった、

これは、子規を中心に松山の近代史を物語る博物館であると。

『坂の上の雲』のようなものだ。

あれは3人の英雄譚ではない。

3人を中心にした明治維新から50年の時代を描く物語だ。

子規の話をするには、子規の家族にふれなければならないし、

そうなると、加藤の叔父という人はとか、常磐会とかの話になり、松山藩とはという話になり、

「ホトトギス」の話をするには「小日本」と陸羯南と日本のジャーナリズムについて語ることになり、

記者として従軍した日清戦争、

どうしても歴史の話になってくる。


漱石が松山赴任当初下宿した「愛松亭(あいしょうてい)」の跡地に、

漱石珈琲店愛松亭という喫茶店がある。

このみかんジュースと紅茶のセパレートティが、思わず二度見するほど絶品だった。

酸っぱいのかと思ったが、みかんとオレンジって違うんだね、みかんは甘くてシロップがいらない。

家でもやってみたいけど、それには、おいしいみかんジュースを入手せねば。

私は、『坊っちゃん』の中で、

最初松山に着いた当初、宿の主が「茶にしましょう」というから淹れてくれるのかと思うと、

おれの茶筒から茶を出して使っている、おれが不在の時も一人で茶にしましょうとやってるのではと不審だ、という箇所が大好きだ。

それでこの日も「茶にしましょう」とくすくす笑いながら、茶を飲んだ。


子規堂に「発句経譬喩品」(複製)が展示されている。

子規門諸氏の作風を野菜に譬えたユーモアあふれる批評。

内藤鳴雪は「卵 滋養アリ小供ニモ好カレル」

他に、つくねいも、さつまいも、山芋、大根、百合根と評している。

漱石のことは、「柿 ウマミ沢山 マダ渋ノヌケヌノモマジレバ」だって!

なんだか楽しそうな会だなと思う。

にぎやかな笑い声が聞こえてきそうな。
みんなおいしそうで、作品を読んでみたくなる。

20歳も上の鳴雪をみんなの人気者、なんて褒めたり、

さつまいもだから屁に注意とか思わず笑ってしまう。子規の愛情を感じる。

こんなふうだから、みんなに愛され、みんなが支えたんだなと思う。

起き上がれないほどの病で若く亡くなることを考えると、どうしても泣いてしまう。

子規堂

漱石珈琲店

松山市立子規記念博物館

第51番札所 石手寺 お砂撫でー新春道後温泉旅行(8)

『坂の上の雲』ということで決めたこの旅行だが、

せっかく四国だからお遍路のお寺にも行ってみたいというのもあった。

ちょうどうまい具合に、道後温泉から徒歩20分程度のところに、

第51番札所「石手寺(いしてじ)」があった。

 

調べてみるとこのお寺には、四国八十八ヶ所霊場の砂が置いてあって、

それを撫でるだけで、遍路を巡礼したのと同じ功徳を得られるという。

なんと! 

雰囲気だけでも、と思っていたところが、思わぬ功徳まで!

これはいかねば、いかねば。

 


巨大な三鈷杵(さんこしょう)が本堂の前にある。真言宗っぽいな。

金色で、強そうで、いかにも厄除けに効力がありそうだ。

いきなり国宝の仁王門があり、そこここに重文があり、

大きなお寺だなあと思っていたが、

境内を見て回るうちに、

木彫の原始的な五百羅漢が無造作に置かれていたり、

ちいさいお地蔵さんが床じゅうにあったり、

果てはマントラ洞窟があったりして、

なにやら妙な気持ちになってきた。

神秘的で、密教ってこういうものかと思った。


そしていよいよお砂撫でだ。

お寺の名前が書いてある白い袋が並んでいる。

屋外の縁側に置いてあるけど、幾重にも布が巻いてあって、こぼれたりはしない。

いいこ、いいこと撫でていく。

撫でるだけといっても、88個も撫でるのは大変だ。巡礼はさぞやと思う。

簡単版とはいえ、ついに結願か。

高野山のもちゃんとある。

熊野山 石手寺

のりものはテンションが上がるー新春道後温泉旅行(7)

最近、自分はのりものが結構好きらしいことに気づいた。

といって、鉄道に詳しいとかではなく、めずらしいのりものは楽しいなー、ぐらい。

のりものは、言ってみればアトラクションに乗るようなもので、旅気分を盛り上げてくれると思う。

松山といえば、もちろん坊っちゃん列車だ。だが、平日は運行していない。

しかし、平日の旅でも、じゅうぶん坊っちゃん列車を楽しめた。


坊っちゃん列車とは、『坊っちゃん』に登場する、松山市内を走る軽便鉄道を復元した路面電車。

高速バスを降りると、道後温泉駅前に停車している機関車と客車。

いきなり、明治にひとっとびだ。

土日祝に運行しているのは、復元である。

だが、本物もちゃんと見ることができる。

松山市駅から電車で17分、梅津寺(ばいしんじ)駅という無人駅がある。

駅前の梅津寺公園には、機関車と客車の現物が展示されている。

機関車のおでこに「1」と輝く、1号機関車だ。

 

これは乗れないが、実は、当時の客車が、子規堂の庭にあって、見学どころか車内に乗り込んで座席に座ることもできる!

子規堂に行ってみたらいきなり展示されているから驚いたが、ちゃんと当時のものを寄贈された、と書いてある。

マッチ箱と漱石が言ったように、本当にちいさくてかわいらしい。

木のベンチと木のヴォールト天井がいい感じだ。

やはり乗ってみると、テンション上がるなあ。


道後温泉駅から大街道駅まで、路面電車で行く。

路面電車は、ゆっくり走るし、駅に階段がなくて、使いやすいし、好きなのりもの。

先にsuicaを通したら、降りるときに通すんだよ、と乗客に教えられる。

わーどうしようと焦っていると、運転手さんにいえば大丈夫だと思うよ、と親切である。

運転手に話しかけていいのか、と思うが、その通りにすると、

じゃあ、降りるときに通さないで降りてくださいという。

ホッとして先の乗客にも会釈すると、これまた笑顔。

旅行客に慣れているのかもしれないが、感じがよくてうれしい。


松山城へはロープウェイとリフトが運行している。

 

ロープウェイとリフトで、客同士互いに手を振る。大人だって楽しい。

久しぶりにリフトに乗って、ちょっと怖かった。

たまにゴトンゴトンと揺れるし、写真を撮ろうとすると体勢が変わるから、体がぞくっと震える。

飛行機は怖くはないのに、足の下に空間があると怖いのかなあ、床があるかどうかなのだろうか。

今年、気球に乗るつもりでいるが、あれは、床があると安心するのか、

それとも床とは思えず、足下に空間がひろがっていると感じるのか。


梅津寺駅は瀬戸内海に最も近い駅。

駅を降りるとすぐに砂浜だ。

夕暮れの瀬戸内海にオレンジの車両が映えて、とても美しかった。

坊っちゃん列車に乗ろう! Q&A

道後温泉本館ー新春道後温泉旅行(6)

高速バスで早朝、目的地に着くと、かなりへとへとになっている。

まずは、ゆっくり体を伸ばしたい。

道後温泉はその点、ぴったりだった。

レトロな建物の道後温泉駅の前では、

坊ちゃん列車とからくり時計が出迎えてくれ、

道後ハイカラ通りを歩いていくとすぐに本館が見えた。

わあ、すてき、時代劇の舞台みたいだね。

しかも、これは書割じゃない、本当に入って利用できるんだ。

 

道後温泉に来るのは3回目なので、システムはわかっていた。

休憩室と浴衣は使わず神の湯の入浴だけで、その後坊ちゃんの間を見学したい。

 

朝8時、風呂は空いている。

客は5人ほどで、タイミングにより湯を独占できる時間もあった。

大きな湯船がどかんとある。

真ん中に湯釜という寸胴の巨大なのが鎮座し、中央に神様らしき像。

これは大国主命かと思われる。

背景に、大国主命と少彦名が描かれている陶板がある。

それで神の湯というのかしらん。

横を見ると「坊ちゃん泳ぐべからず」と木札があって、さっそくふふっと笑う。

天窓から朝の光が差している。

さあ、体を伸ばして温めよう。

(3枚ともに道後温泉PR用素材)


湯釜に万葉仮名で知波彌布留と書いてあったので読み始めると、途中から何と読むかわからなくなった。

少なくとも竜田川ではなかった。

このことは公式サイトにも載っておらず、不明のままだ。

不明でいいのである。

旅でわかったことがある。

行ってみないとわからないことはたくさんある。

何でも画面を通してわかるなんてことは、ないほうがいい。

 

入ってすぐの廊下が私は好きだった。

道後温泉の由緒を描いた絵がかけてあって、

聖徳太子や一茶や一遍上人が湯に来ている絵があって、

聖徳太子もここにねえ、などと思う。

所蔵:松山市(道後温泉PR用素材)

 

サウナとかジャグジーとか薬湯はなく、ととのうための椅子もなく、

わたしがよく行く銭湯とは違う雰囲気がある。

大国主命、聖徳太子、万葉集、

古い時代の日本とつながっている湯という感じが強くした。

言ってみればリアル『テルマエ・ロマエ』。

 

その後、坊ちゃんの間を見学する。3階は貸し切り休憩室が数室あるのみだが、見学といえば見られる。

早朝のため、ほかに客がいないので、貸し切りのようにここでゆっくりしてしまった。

 

 

売店では、バスタオルを買おうかどうかすごく迷った。

バスタオル1200円、フェイスタオル220円。

わたしは、新年から新しいバスタオルを下ろすことにしているが、

今年はまだ替えを買っていなかった。

もしよいものなら記念にここで買ってもいいのだが、

なにしろ着いたばかりで、これから数か所回るのに、持って歩くのも面倒だ。

どこでも買えるだろう、夕方、別館の飛鳥の湯泉にもいくし、そちらでもと思った。

思ったのが間違いで、これはここでしか買えないと後に知るのだった。

ネットでも売っていない。

わあぁぁああん!

なお、あとで別の理由があって買ったのだが、飛鳥の湯泉でタオルは600円でバスタオルは2000円だった。

実は本館、お買い得である。みかん石鹸も買えばよかった。

しかし、あそこであれを買っておけばよかった、という後悔もまた、よくある旅の楽しみかとも思う。

道後温泉本館

PR用素材ダウンロード

温泉内で写真を撮れない代わりに素材をDLできるサイトを用意してくれている。ありがたい。