ゆっくりいこう。
さて、高速バスになぜしたかというと、まず安そうだ、というのがあった。
正月を外すと、旅費がかなり抑えられる。これはよい。
最近は高速バスは快適であるという情報も得ていた。
松山へ飛行機で往復となると、滞在時間は非常に短いから、
往復ともバスで行ったら一日中旅に費やせる、と思ったのだ。
本州から四国に渡るには、3つの道がある。
明石大橋、瀬戸大橋、そしてしまなみ海道である。
私が乗るバスはどのルートを走るのだろうか。
できれば、早朝の瀬戸内海なんか車窓から見えたらな、
先の2つは渡ったことがあるから、新しくできたしまなみ海道を走ってみたいな、
松山だから地理的に可能性はあるな。
だが、どうもはっきりしたことはわからなかった。
バス会社にルートが明示されていないのだ。
意外にわからないものだな。
なんでもわかる世界ではなかったのか。
さて、ついに出発だ。(やっとか)
高速バスで新宿発と言えば昔、
西口のスバルビルのゴチャゴチャと暗いとこでという印象が強いが、
新宿バスタはすっかり空港か新幹線のりばのようである。
発車時刻と行き先と番線が電光掲示で表示されている。
バスタの待合室にいる旅客はどうやらほとんどが外国人である。
バスタ内のコンビニのレジ内のスタッフが4人とも外国人であることにも驚く。
これがトウキョウか、と思う。
成田からリムジンバスで新宿に着き、そのまま高速バスで地方へ行く、
新宿はそういう使われ方をしはじめたのか。
上田行き―、飛騨行き―、本栖湖行き―、どんどんバスが出発していく、
おなかにカラフルなトランクを乗せて。
いよいよわたしのバスも到着した。オレンジがまぶしい、伊予鉄バスだ。
30人乗りに15人ほどが乗り込んだ模様。
乗ってみてわかったことには、走行中窓のカーテンは開けてはならないというルールだ。
まぶしくて睡眠の邪魔になるかららしい。
ならば早朝の瀬戸内海は無理か。
窓の外を見られないのか、と旅の楽しさが減った気がしたが、
そこで思いついた、どこを走っているか、ランニングアプリで見ることにしたのだ。
青い丸が現在わたしがいる地点である。
足柄を過ぎ、静岡を過ぎ、
少しうとうとしているうちに、
いつのまにか明石大橋を渡っている!
わああーーーー!!!
カーテンの隙間からのぞきこむと、黒い黒い平原の向こうにオレンジの明かりが少し見えた。
朝4時の瀬戸内海だっと心で叫んだ。
バスの音がゴウゴウと鳴っている。
その後、バスはどのルートか、ここで明かされる。
高松、丸亀と海沿いを走らず、そのまま内陸に入っていく。
なるほど、松山へはそちらのほうが近そうだ。
四国の地形がはっきりと見える、このアプリが大活躍だ。
徳島から入り、香川には一歩も入らず愛媛入りするというわけか。
いよいよ松山が近づいてきた。