茅の輪くぐりと小さな猫のしっぽの謎 -夏越の大祓の旅

今年の夏越の祓えは、アトリエの地元の神社に行った。

金魚が空を泳いで、夏詣の気分満点。

ここでは、茅の輪守りを自分で作れる。

人形で体の穢れを取り、お祓いをしてもらい、全員で一緒に茅の輪くぐりをし、
こうした神事が終わったあと、希望者はチガヤと麻の紐をもらう。

「茅の輪にも使われているこのチガヤは、
神社で育てて、ご神水で洗い、さらにお祓いしてありますが、
チガヤそのものは、川岸でよく生えている植物です。

チガヤの葉は、扱いに注意が必要で、
こう握る分には大丈夫ですが、
根元から葉先方向に手を動かすと簡単に手が切れます。

この「切れる」というのが、悪いものを近づけない、という意味でもありまして」
と説明を受け、お守りの作り方を習って、各自が作る。

確かに、作るときに葉が脛を撫でると、少しピリッと痛い。

さっそくアトリエの玄関に掛けておく。悪いものが入ってこないように。

 

 


近くの川沿いに遊歩道があり、春は菜の花が咲き、夏はアジサイ、と目を楽しませてくれる。

少し前、キツネのしっぽのような白いふわふわした穂が揺れているのを見つけた。

触るとふんわり、流れに沿ってつかむとつるんと穂が逃げていく。

キツネっていうより、これは猫だね、小さな猫のしっぽを撫でるよう。

撫でて撫でて、と猫たちがしっぽを立てているから、
順番に撫でていく、いい子だ、よーしよし。

柔らかくて、なめらかで、私のほうがとても癒される。

落ち込んだ気持ちが少し上向いた。

佐藤さとるの『豆つぶほどの小さないぬ』のように、小さな猫がいたら、こんな感じかしら。


これがチガヤだった。

ススキやヨシなど、川沿いには似た草がたくさんあって区別がつかないが、
今時分このような穂をつけるのは、チガヤだ。

大祓の後に見に行ったが、
もう、しっぽはあとかたもなくなっていた。

小さな猫たちの集会は解散したようだった。