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フランス・アニマシオン研修

第3回フランス・アニマシオン研修に参加しました。2012年3月
公共図書館でのこどものためのプログラム、絵本作家やイラストレータを招くイベント、
メディア教育授業など視察する研修に参加しました。
フランスの子どもたちに日本の紙芝居も上演するワークショップを実施しました。

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◆研修
実施日:2012年3月
視察先:パリ市立図書館 マッシー市立図書館 レンヌ都市圏図書館 レンヌ市立図書館
サン・マロ市内の中学・高校の学校図書館
参加者:子どもの本の関係者ら12人+ 通訳・コーディネイター1人

<佐藤凉子・団長>
子どもと読書のコーディネーター&ストーリーテラー。
東京都品川区で公共図書館長、児童センター館長などを勤め、
児童の読書活動に長年携わり、広く読書のアニマシオンの実践をおこなっている。
<辻由美・通訳・コーディネイター>
作家・仏文翻訳者。
図書館利用者の立場からフランスのさまざまな図書館活動や読書活動を紹介する講演をおこなっている。
『読書教育』など著書訳書多数。

フランス研修報告書が完成! 1部700円   2013/02
『子どもたちと拓く読書の世界!―フランスの公共図書館でのアニマシオン・学校でのメディア教育を訪ねて―』

国会図書館埼玉県立図書館に所蔵されました。

◆本書の概要
『子どもたちと拓く読書の世界!―フランスの公共図書館でのアニマシオン・学校でのメディア教育を訪ねて―』
フランスの図書館のアニマシオンや学校図書館の授業を現地で視察し、
担当者にヒアリングしたレポートです。
フランスでは公共図書館の文化活動のことを「アニマシオン」と呼んでいて、
利用者が参加 するプログラムやイベント、催しなどの総称です。

◆本書の内容
公共図書館 / 子どもの本の読み聞かせ アートワークショップ 大人むけの読書推進プログラム
絵本原画展とトークイベント 学校やNPOとの協同事業
中学・高校の学校図書館 / メディア教育の授業 読書クラブの運営
プログラム・授業の視察と担当者へのヒアリング

付 記:
パリ市とマッシー市の公共図書館では、館内プログラムとしてフランスの子どもたちむけに、
日本語による紙芝居を上演した。
マッシー市立図書館は、『フランス公共図書館60のアニマシオン』の著者が勤務している図書館で、
当館では本人が実施する アニマシオンを視察、 直接ヒアリング・質問することができた。

◆こんな方に役に立ちます
□ 子どもの本や絵本に興味がある方
□ 読み聞かせをしている方
□ 児童の読書活動に興味がある方
□ 子どもむけのワークショップを実施している方
□ 子どもむけのアートプログラム・展示に興味がある方
□ 大人むけの読書プログラム・読書クラブに興味がある方
□ 読書関係のイベントや展示に興味がある方
□ メディア教育に興味がある方
□ アニマシオンの実践について詳しく知りたい方
□ フランスの図書館について知りたい方
□ 図書館関係者・図書館活動をしている方
□ 学校教諭・学校図書館関係者

◆本書の目次   ★は原口比奈子が担当した箇所
序文「コーディネーター・通訳として」
マッシー市立エレーヌ・ウドゥ図書館
図書館見学
読み聞かせアニマシオン
アトリエつきアニマシオン ★
図書館司書との昼食会 ★
さまざまなアニマシオンの取り組み
シャン・リーブル レンヌ都市圏図書館
図書館見学 ★
レンヌ市立図書館全館
レンヌ図書館祭り ―ちいさな本読みたち―
ジャック・カルティエ高校
高校の学校図書館でのメディア教育
高校の文学クラブ「文学の出会い」
サン・ジャン・ダルク・ショワジー中学校
中学校の学校図書館でのメディア教育
シャン・リーブル レンヌ都市圏図書館
特別支援生徒を含む中学生への図書館利用教育
詩の創作・朗読コンペティション「スラム・スコレール」
パリ市立マルグリット・ユルスナール図書館
図書館見学
読み聞かせアニマシオン ★
大人のためのアニマシオン
子どものためアニマシオン
紙芝居上演報告
研修参加者の感想 ★
研修スケジュールと見学先 ★
執筆者/研修参加者
編集後記 ★
(表紙) ★

◆研修先のフランスの図書館からも「全員で喜んでいる」とのおしらせをいただきました。
さっそく研修先の図書館にも送ったところ、心のこもったお返事がありました。
もちろんフランス人ですから、日本語は読めません。
でも、「写真や図やイラストがたくさん載っていて、ページをめくりながら楽しんでいます」
「皆さんの訪問はとてもよい思い出です」 と喜んでくださっています。
本当に絵って世界共通だなと思います。201

保育士対象の研修をおこないました

「わくわく!好奇心を刺激する絵のレッスン」というタイトルで、
保育士対象のレクチャーとワークショップをおこないました。
■日時 2013年12月11日 13:00~14:40
■場所 埼玉ヤクルト販売株式会社別所センター
■主催 埼玉ヤクルト販売株式会社

保育所のリーダー保育士さんを対象に、前半はレクチャー、後半はワーク、という構成で実施しました。
レクチャーでは、「わくわく!好奇心を刺激する10のレッスン」を紹介し、
ワークでは、「ことばから絵へ」とペアになって「講評会」のワークショップを実施しました。

以下、実況風に報告します。


レクチャー わくわく!好奇心を刺激する10のレッスン

「これおもしろい! もっとやりたい!」そう思うことが、絵に限らず何でも大切ですよね。大人になるとね、「何を描くか・作るか」を重視しがちですが、その他にも絵を楽しむ方法はたくさんあります。私どものアトリエでは、「絵を描くっておもしろいよね」と感じられるように、いろいろな角度から絵を楽しむことを考えてレッスンをしています。

♪ 絵を描く場所を楽しむ

♪ 身体運動として楽しむ

♪ 画材の感触を楽しむ

♪ 「だれかと一緒」を楽しむ

♪ 「WHAT」じゃなくて「HOW」を楽しむ

♪ 色を楽しむ

♪ 遊びの流れとして楽しむ

♪ 感情を楽しむ 例えば「好き」

♪ 絵本とともに楽しむ

♪ お話を楽しむ

これで、10のレッスンをご紹介しましたが、もちろん、絵の楽しみはこれだけではありません。他にもたくさんありますし、やはりその「場」や「人」に合わせていろいろ工夫するのが、一番大事です。もちろん、いくつか組み合わせてもいいですよね。

いつもやっているアクティビティに、「実はあれは、こういう意味があったのかなぁ」なんて違った角度から発見するかもしれませんね。

これが正しい方法ですよ、というのじゃなくて、みなさんの日々のご活動の何かのヒントになればと思っています。


ワークショップ「気持ちをお話しするレッスン」

「感情を楽しむ」と「物語を楽しむ」をミックスしたものを、大人向けにアレンジしたワークです。これは大人向けなので、子どもには難しいですし、今日はどちらかと言えば、絵って楽しいものだよね、と感じていただけたらなぁと思って、ご用意しました。今日は、ご自身のために絵を楽しんでくださいね。

テーマとしては、「絵は気持ちをお話します」というのをテーマにしたいと思います。なかなか言葉では表現できないことも、絵なら表現できるかもしれませんね。

まず、隣りの人とペアを組みます。さらに大きなグループに2つに分かれます。

「あたたかい」グループと「夜空」グループ、それぞれ絵を描きます。

まず、「あたたかい」グループの方、「あたたかい」と聞いて、思いうかべることってなんですか? 
ココア、セーター、あったかい温泉、いいね、手ぶくろをほっぺに、缶コーヒー、夕食のシチュー、夜中に食べるラーメン、食べ物ばっかりになっちゃったけど、おひさま、太陽っていうのもいいね。どういうシチュエーションも考えよう。そこにはだれがいる?どんな場所?時間は?朝、昼、夜? 季節は? 誰かからプレゼントもらったときの気持ちもあったかーいね。お部屋で雪が降ってるのを見てるのもいいね。もちろん、あったかーい色、色だけで表現してもいい。

今度は「夜空」グループの方。思いうかべてください。
月は出ていますか? 星は?UFOは? 銀河鉄道は? 花火は? 音は聞こえる?どこで見てる? 都会?田舎? 寒い?暑い? ねころんで見てる? そしたら全面が夜空。虫になって見たら、草の間に空。 月もね、三日月でも満月でもいいよ、大きさも考えて、色も考えて、1Q84みたいに月が二つでもいいし、緑色の月もOKですよ。砂漠の月夜なんていうのもいいね。星だけっていうのもすてき。

OK? それで描くときですが、できれば自分が体験したことを思い出しながら描いてみてください。絵そのものは創作でもいいですし、本当にあったことでもいいです。

じゃあ、描いてみましょう。えっとね、だめな絵っていうのはないですから、大丈夫ですからね。20分で描きましょうか。


ワークショップ 「ロールプレイ 講評会」

これから、絵のお話をペアでします。

まず作者の役の人から、自分の描いた絵を相手に見せながら絵についてお話しして、それに対して、見る人が話をする、というロールプレイです。

 

 作者   鑑賞者(見る人)

 まず作者が絵を見せながら説明します。

「この色は~をあらわしています」「ここは~を表現しています」「これは~です」など、自由に説明します。

  つぎに、見る人がこのような文章で「発見」を伝えます。

「ここが~でいい」「ここがおもしろい工夫だと思う」「この~がユニークです」

 

お話しのときのルール 「安心・安全」のためです 必ず守ってください

○常に一人の人が話します。だれかが話しているときには、他の人は話さないでください。

○見る人による質問(これは何ですか? どうしてこう描いたのですか?)、疑問(ここがわかりません)、アドバイス(もっとこうしたほうがいい)は禁止です。

○見る人は決まった文章(「ここが~でいい」「ここがおもしろい工夫だと思う」「この~がユニークです」)で発言してください。いいところを見つける「発見」をこころがけましょう。

○見る人の発言が作者の意図とはちがうかもしれませんが、作者は「そういうつもりじゃない」ということは言わないでください。

 


じゃあ、まず「作者」の人だけが話します。3分、ストップウォッチで計りますので、時間内で終わっちゃったら、そのまま静かにお待ちください。絵のことを自由に説明してください。もう一人の人は話さないでください。では、どうぞ。

では次に「見る人」がおはなしします。2分です。今度は、決まった文章で話してください。ルールに注意しながら、やってみましょう。同じように時間内で終わったらそのまま静かにお待ちください。

では、次に役割を交代します。作者と見る人が交代してください。

まず、作者の人が3分話します。つぎに見る人が2分お話します。

 

気持ちのシェア

いかがでしたか? 絵っていいでしょう?

ちょっと今の気持ちを何人かの人にお話していただきましょうか。何の絵を描いたかじゃなくて、絵を描いて絵を見てお話をして、今どう感じているか、ということをですね、シェアしようかなと思います。話したい方、いらっしゃいますか? 

 

あたたかいとか夜空とか、同じテーマでもそれぞれの人が違ったことを考えていますよね。

もちろん、同じなところもあります。

いずれにしても、それぞれの人がこめた思いというのが絵に表れていますよね。

それは、絵は気持ちをお話するからです。

人が違うので、思っていることが違うし、これまで体験したことも違う。

だから絵が違ってくるのです。一生懸命描いたら、みんないい絵になります。

ただ、絵は気持ちをお話するものですから、「安心・安全」じゃないと、気持ちを出すことはできません。そのために今日はルールを設定しました。

それから、絵を描いていると、実は自分はこんなこと思ってたんだ!とかね、あらためて自分自身を発見することもあります。

それから、自分の気持ちがちゃんと相手に伝わるととてもうれしいと思うのです。

人間には表現する喜び、それからそれが相手にちゃんと伝わる喜びがあって、それが芸術の役割です。

中でも絵っていうのは、小さい子どもから大人に至るまで、自分の気持ちを表現するには

大変いいものだと私は思っています。

これで、私の話は終わりです。ありがとうございました。


 研修後の感想

積極的な発言も質問もたくさんあり、大変盛り上がった研修でした。

事務局の方からいただいたアンケートからいくつかご紹介します。

―絵のレッスンが楽しかったです。最初は、絵は苦手だなぁ~と思っていましたが、描いてみるととっても楽しかったです。」

―好きな絵を描いて、いっぱいほめてもらってとても楽しく印象に残りました。子どもたちをもっともっと褒めてあげようと思いました。

これからやってみたい保育活動は?

―自由な製作です。(3歳児以上)

―材料を並べた中で、自由な発想や思考力を育てたい。

―出来れば私も一緒にやりたい。

―今回の研修を生かし、色んなことに展開して、発想力豊かに保育の活動に取り入れていけるよう楽しみたいと思います。


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宮沢賢治「物語と解釈 本の表紙をデザインしよう」

宮沢賢治は本をたくさん書いて、たくさんの画家が絵本を描いているよ。同じ話でも画家によってずいぶん違うねえ。きみならどう描く?

きみも絵本画家になって、宮沢賢治の本の中から気に入った本の表紙をデザインしてみよう。

「注文の多い料理店」怖い感じ出てる! よだれ出てる! 刃物、眼鏡、長靴ダメですっていう禁止のポスターもいい感じ。

 

「よだかの星」宇宙空間のいろんな形の星がとってもすてき。もう泣きそう。

 

「どんぐりと山猫」あ、これは届いた手紙だね。墨がついてるね。どんぐりたちもかわいい。

ルネ・マグリット「シュルレアリスムとの出会い さかさま世界を考えよう」

ルネ・マグリットはシュルレアリスムの作家。現実ではありえない、夢の中にいるような不思議な絵をたくさん描いた。浮かんでいる人々、空が晴れているのにまるで夜みたいな家、顔のない男、鳥の形の中に空がある絵もある。

みんなもマグリットみたいに「さかさま世界」を考えてみよう。まずはブレインストーミングでアイデアをたくさん出していく。その中から気に入ったものを絵にしよう。

 

「むこうからへんな人が。」(手とくび、口と目がさかさま)

「やわらかい木」(かたいとやわらかいがさかさま)

「月とたいよう」(月がひかりをあてている)

空と地面がさかさま 

 

北斎「≪「冨嶽三十六景≫との出会い ○○の向こうに富士山が見える」

北斎はいろいろな場所から見える富士山をたくさん描いたよ。雪の富士山、夏の富士山、赤く染まった富士山、遠くに小さく見えたり、近くに迫ってくるのも。旅人が馬に乗っていたり船が海を渡っていたり職人が仕事をしていたり、人々の暮らしも同時に描いた。

北斎の絵は大胆な遠近法がかっこいいね。近くのものを大きく、遠くのものを小さく描くのが遠近法だよ。

みんなは何の向こうに富士山が見えたらおもしろいかな? 北斎みたいにいくつも描いてみよう。

ハイキング中に、トンボの向こうに富士山が見える

 

なわとびのなわの向こうに富士山が見える

 

手を丸くした向こうに富士山が見える

 

狛犬の向こうに富士山が見える

「講評会」ほかの人が描いた絵のいいところをさがそう!

ほかの人が描いた絵のいいところを見つけて、「この絵の△△のところが、○○○な感じがしていい!」と気持ちをお話しする会、それが講評会だよ。

この絵、どこがいいかな?


「上のほうに、丸の中に丸があって、プチプチした感じがしてかわいい。軽いものが浮かんでる感じがしていい」

 
「点々がいっぱいあっておもしろい」

 
「明るい色と渋い色が一緒にあるところが自然な感じがしていい」

 
「ピカッとかキランとか光っている感じがしてかっこいい」


《解説》

絵はどう見ればいいか。

ほかの人の絵を見て「変な絵」なんて言ってしまったとたん、絵との接点は消えてしまいます。

ちょっと変わった絵、見たことないような絵、自分が描くのとはまったくちがった絵、そういうものの中に、「いいところはないかな?」とさがしてみることで、じっくり見る姿勢が生まれます。

未知のものとの接点ができて、知らないものを受け入れる、理解する道すじができます。

ひいては、自分の中にある未知のもの、矛盾さえも受容することにもつながるはずです。

このワークショップでは、作者の意図と違ったことを言ってもいいと最初に説明します。

 

※「アトリエ木の日絵画教室のアニマシオン!-“絵の好きな子がくる教室”の絵が大好きになる10の方法」(2010年)で展示発表したものを加筆再掲したものです。

「加筆」という合作 偶然できる色と形

先生と二人で一つの絵を合作します。テーマは「いつか行ってみたい場所」。こんなところがあったらいいなぁと思いながら、交代交代で「加筆」していきます。

ゆうたくんとせんせい

まずは、ゆうたくんがペンで描きます。

 ゆうたくん
「ここは、かがみのせかい。いろいろな物がかがみの中にうつっています。もようも、ふしぎな形の物もあります。物が何まいものかがみにうつされています。」

 せんせい
「上のほうに光があります。無重力の中に鉄のように重いものがうかんでいます。広いところです。」

つぎに、先生がペンで「加筆」します。

 

 ゆうたくん
「このかがみはげんじつにはないものがうつされるときもあります。まん中にはゆらゆらしているものがあります。」

 せんせい
ゆらゆらしていて不安定な感じ。むこうが、もやでよく見えなくて目をこすりたくなる。今見えていたものが見えなくなったりする。

つぎに、先生が色で「加筆」します。

 ゆうたくん
「うつっている物がふしぎだったりヒュンヒュンしている。いろいろな物がまざっている。」

 せんせい
つめたい空気がよどんでいる中にスピードの速い星がすべりこんできた。空色のものは、実体がつかめない感じ。

つぎに、ゆうたくんが色で「加筆」します。・・・・・・完成!

 ゆうたくん
「いろいろな色が降ってきている。かがみにうつると、色がちがって見える世界。」

 せんせい
急に明るくなった空が広がるよう。地球の自転ぐらいすごいスピードで右回りに回転している。


《解説》

二人で一つの絵を合作すると、新しい色の組み合わせや形の変化がリアルタイムで感じられます。自分だけでは思いもよらない偶然の結果がおもしろさを生みます。

一人で絵を描いていると、いつのまにかワンパターンにおちいることがある、自分自身でおもしろくないなと感じるとき、他者と一緒に絵を合作するというこうした刺激が効果的です。

このワークショップでは二人で抽象画を描きます。描くときはお互い相談せずに描いていいのですが、「加筆」のコツは、形の変化と偶然を楽しむことと、お互い協力しようとする気持ちです。二人が対等の関係でとりくみ、むりにどちらかにひっぱろうとしないようにします。1つの絵の中にたとえば上半分と下半分といった分担が起こらないようにします。

できた絵について「発見」する気持ちでお話してみましょう。

「加筆」の時間は、ペンを10分ずつと、色を20分ずつの、計60分が適当です。

※「アトリエ木の日絵画教室のアニマシオン!-“絵の好きな子がくる教室”の絵が大好きになる10の方法」(2010年)で展示発表したものを加筆再掲したものです。

「コンポジション」3色でテーマを表現しよう!

絵は形と色でできている。でも今日は、色だけで描こう。

たとえば「春」をイメージして色えんぴつを3色だけ選んで。

画用紙に薄く格子を描いて3色をうまく配置して絵を描こう。

左から「春暁」「春風」「雷」「虹」

左から「野菊」「冬凪」「いたち」「冬の空」

 


《解説》

バウハウスのレッスンに着想を得たワークショップです。

色と色の組みあわせに対する鋭い感覚を養います。

3色選ぶとき、「春」の何を考えていますか?

春とひとことで言っても、思い浮かべるイメージは千差万別。イメージから選ぶ色もそれぞれ異なります。絵を描くとは、外界についてよく観察する考察する姿勢を身につけることです。「春って何だろう?」と考えるきっかけになるでしょう。

あまり色が多すぎるとテーマに集中できなくなるので、3色選んでそれぞれ濃淡をつけて合計6色程度がちょうどいい具合です。

モンドリアンやカンディンスキーの画集を見せると芸術鑑賞のワークショップにもなります。

※「アトリエ木の日絵画教室のアニマシオン!-“絵の好きな子がくる教室”の絵が大好きになる10の方法」(2010年)で展示発表したものを加筆再掲したものです。

ことばから絵へ 絵から物語へ 連鎖するイマジネーション

「冴ゆ」ということばがあります。

冬の中でもいっちばん寒くて、空気が透明なナイフになってほっぺたが切れそうになるほど冷たい夜、
月の光がくまなく澄みわたるという意味です。
そんな寒い日、知ってる、あったよね。

この「冴ゆ」をテーマに絵を描きましょう。
絵が完成したら、今度は絵の物語をつくりましょう。

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《解説》

同じことばから全くちがった絵ができる。これはどういうことでしょうか。それは、個人個人がこれまで経験してきたことが違うからです。ことばによって体内に蓄積された経験がよびおこされ、絵になります。つづいて、その絵からまた新たな物語が生まれ、それが経験となるのです。

物語は、絵に出てこない人物や時間の流れを表現できます。絵に広がりと厚みがでてきて、絵を見る楽しみが生まれます。物語を書くときに時間をかけて細部を見直すので、絵をすみずみまで味わうことができます。

最初は点だったアイデアが、面になり立体になる。着想を広げ、厚みをもたせるワークショップです。

※「アトリエ木の日絵画教室のアニマシオン!-“絵の好きな子がくる教室”の絵が大好きになる10の方法」(2010年)で展示発表したものを加筆再掲したものです。

「太陽禁止令」太陽を描かないで晴れた日を表現しよう!

太陽を描かないで晴れた日の絵かけないかなぁ・・・?
え?ムリ? そう言わないで、ちょっと考えてみてよ。
折り紙から2色選んで、「晴れた日」を表現しましょう。
朝と夕方じゃ空のようすはちがうよね。夜だって晴れていることある。雪が降ったらどうかな? 海はどんなかな? 山にのぼったらどうかな? ピクニックに行ったときの風景は? 外国だったらどうだろう?

好きな2色を選んでからタイトルを考えてもいいし、
タイトルを考えてから2色選んでもいい。

材料:おりがみ、のり、台紙

sun01

夏の朝      晴れた夕方     晴れた夜

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晴れた雪国   山の上からみた景色   都会の夜

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海         岩山        あつい砂漠

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真夜中      春の動物園      天気雨

 

【解説】

太陽を描けば絵は完成、そんなふうに絵が記号になってしまっていないでしょうか。思いきって、太陽なしでいってみましょう。制限がかえって表現を新しく豊かに展開させる契機になります。

人だって着ている服によって印象が変わります。赤いドレス、黄色いワンピース、黒いスーツ・・・。着ている人は同じなのに、どうしてこんなにも印象が違うのでしょう。絵も同じです。人物や静物の背景の色によって絵の印象ががらりと変わるのです。

このワークショップは、背景を工夫するだけでこんなにも表現が豊かになることを知るためのものです。

※「アトリエ木の日絵画教室のアニマシオン!-“絵の好きな子がくる教室”の絵が大好きになる10の方法」(2010年)で展示発表したものを加筆再掲したものです。