カテゴリー別アーカイブ: アナログハイパーリンクな読書

2017/06/10

自分が思う姿と他人が思う自分を一致させること

ここ数ヶ月、生活環境の変化の最中にある。

新潟の展示では、自画像を鏡に描いた作品を出展している。

鏡に映る自分の姿。

他人の目に映る自分の姿。

鏡とは、自分を客観視する装置である。このことを私は「私はあなたになるのでしょうか」と以前作品解説に書いた。

今日、ふと、自分が思う姿と他人が思う自分を一致させたいと思っているのではないかと思い当たる。大抵、それは異なるものだからこそ、そうしたい願望があるのではないか。

アトリエにある同じシリーズの作品と正対していて、つまり自分の顔と正対していて、思い当たった。

有名になりたいからとハッカー事件を起こす少年の願望は、自分の思う姿を他者に受け入れさせようとすること。だが大抵は他者から見た姿を受け入れるしかない。自分の顔を見ることが苦手、というのはそこに理由がありそうだ。

できればありたい自分になりたい。鏡を見るとは、ありたい自分となんとかすり合わせする工程だろうか。化粧とも関係がありそうだ。

こちらがそっちに行くのでなく、少しでいいから、そっちからこっちに来てはくれないか。

思えば大層子どもっぽい願望かもしれない。見果てぬ夢だろうか。しかし、今の私には切実な願いのようだ。それで描くのだと思う。

私が今思う理想の形は「千と千尋」の最後のシーン。前と同じようでちょっと違う、髪ゴムがキラッとすること。

flowers展 2017/06/01-06/18 ギャラリーみつけ (新潟県見附市)

2017/06/10

東京の中のモスク「東京ジャーミー」

5月にキュレータのYさんに誘われて代々木上原のモスク「東京ジャーミー」に行った。前から一度行きたいと思っていたので渡りに船と二つ返事。

東京の真ん中にイスラム教の礼拝堂がある、それも生きた、つまり日常的に利用されているモスクが。多くのイスラム教徒が東京で暮らしている事実はあまり知られていない。

その「東京ジャーミー」が昨夜、NHKの番組で取り上げられた。

時期がぴったりなので数日前発行されたばかりの「Tokyo/Japan  may 2017」に掲載された2点を含む写真数点をここに載せることにする。

この日、礼拝堂では結婚式が挙式されて、参加グループは許可を得て参列、撮影させてもらったのは幸運だった。宗派が違えど等しく結婚はめでたいことであると実感した。誰々の子と誰々の子がここに夫婦となることを宣言し、親しい人が集い祝福し、新郎新婦は美しい衣装で幸せそうだった。

2階は女性のみに許された礼拝場所なので、2階から撮影した花嫁の写真は貴重なものだ。

この寺院及び文化センターの広報の方がガイドをしてくださったが、大学時代スーダンに調査に行ったことがイスラム世界と深く関わるきっかけだったそうだ。どこに自分のソウルが震えるものがあるかわからない、やってみてわかることはあるものだと思うし、また一方でそのようなものに出会える幸福を羨む。

2017/06/04

ほくほく線シナハン?

先日ほくほく線と雪下にんじんスープのシナリオを書いたので、今回はお土産でスープを買ってみた。先に書いて後から確かめに行くのはハンティングではないか。いや、次に膨らませる時のための立派なシナハンだ。

たまたま日曜でイベント列車「夢空」列車が運行していた。ほくほく線はトンネルが多い。トンネルの時に車内を暗くして天井に映像と音楽を流すというもの。スターウォーズのような音楽とともに花火の映像。結構よかった。子供に戻ったようなワクワクを感じた。ウォーーと内心思ったけど一人なのでキョロキョロ見上げてただけ。

親子鉄の話にしたけど、ぴったりだったな。

ちなみにこれもJRイベント列車「おいこっと」車内の雪の模様の椅子の布地。

まつだい駅前には草間作品と「棚田」(イリヤ&エミリア・カバコフ作)。

2017/06/04

「夢の家」翌朝2

赤い色の部屋に泊まったが、夜になって電灯を消すと真っ暗である。窓ガラスに色がついているから。朝になるとまた赤い部屋になっていた。

当初私は部屋の壁面も赤く塗られているのかと思っており、ポーの『赤死病の仮面』のようなイメージを想像して不気味な部屋ではないかと思っていたが、そんなことは全くなかった。写真で見ると怖いようだがすぐ慣れた。


赤の部屋 7.5畳に窓が2箇所。真ん中に夢のベッド 2000×800程度。板でできていて当然固い。

夜は静かかと思えばカエルがそこここでケロケロケロケロと鳴いていた。

朝、足元でぴょんと飛ぶのを見る。君だったのかね?


昨夜のハーブかと思われる敷地内に植わっているよもぎとミントの葉の下にいるアマガエル。

2017/06/04

「夢の家」翌朝

「日常生活の単純な行為を儀式化することの必要性を再確認する試み」とアブラモヴィッチは書いているが、

◯◯道という儀式化された様式に則ったものが多くある日本では、受け入れやすいものではないかと思う。

剣道も、鏡開きだとか寒稽古だとか稽古後黙想をして正面に礼だとか、そういう定式化されたものがある。その日に餅を食べたくなくとも食べる。茶道にもこのように手を洗え花を飾れ茶を飲め器について語れと言った指示がある。

自分の好きに食べたり寝たりする自由を制限し、決められた自分には意味がわからない規則で暮らす中で、普段慣れた暮らしでは見えない意識が上ってくるような気がした。

、、、と作務衣のような「夢の着物」を着て指定された朝食である地元のパンを食べながら思った。

2017/06/03

夢を見るための家

新潟のグループ展出品にともない、十日町にあるマリーナ・アブラモヴィッチ宿泊できるアート作品「夢の家」に宿泊している。

夢を見るための場所。

インストラクションに従い、赤と紫、緑、青の4つの色の部屋に合わせた専用ウェアを着て寝る。12箇所のツボに当たるポケットにマグネットを入れると重い。一人一部屋。寝る前には地元で取れた薬草(私の場合はよもぎ、ミント、葉しょうぶ)を入れたバスタブと別のバスタブでシャワーを浴びる。バスタブにはそれぞれ水晶の枕がついている。

電話がない代わりテレパシー電話がある。

夢の部屋で見た夢は棺桶のようなベッドに備え付けの夢の本に書く。枕は雪の結晶の模様の入った黒曜石。

朝ごはんも指定のパン2つとバターを食べる。

古民家を使った作品で、近くには湧き水が湧いている。テーブルにはコップに入った水24個。これも作品。

オーストラリアのライターだという女性とお互い知らない同士二人で宿泊する。

私は赤い部屋に寝ることになった。どういう夢を見るのかあるいは見ないのか。

これまでここで体験した多くの人々が書き綴った夢の本が公開されている。読むと、皆夢について真面目に考えているようで、大切なものなのだと思い知る。亡父に会いたいと書いている人がいて、夢とは、あの世とつなぐものでもあると気づく。

夢の家は2000年完成。途中地震で中止また再開されている。

2017/06/03

水族館と文学と絵

クラゲが見たくてすみだ水族館に行ってきた。クラゲの展示が特徴的と聞いたので。

『ねじまき鳥クロニクル』で最後、電話で本人かどうか恋人だけしか知らないことを質問するシーンがある。初めてのデートで水族館に行って、何を見たか? 彼女は答える、「クラゲ、たくさんのクラゲ」と。

ふとそれを思いだして、たくさんのクラゲを見たいなと思った。

ドローイングの線が動いているような長い触手。これは美しい絵。

たぶん、岡田亨とクミコは、もっと閑散とした、人気もないようなところで二人だけで見ていたのだと思う。他の人が魚とかペンギンとかイルカとか見ているのに、二人はクラゲに惹かれた。でも実際のすみだ水族館は、とても混雑していた。

 

すみだ水族館は、金魚の展示もあって、土地柄を出していて面白かった。

立川志の輔の落語が元になった映画『歓喜の歌』で、らんちゅうが問題の元になる。

らんちゅうもいた。最初コブコブが怖いかと思ったけど、けっこうかわいい。
そしてひれがヒラヒラして美しい。王者の風格がある。
水槽の周りを黒くして展示していたので、美しかった。

金魚を上から見られるようになっている。絵の具を垂らしたよう。
上からの模様の美しさ(対照に模様が入っているほうがいいとか)が江戸時代の金魚の価値だったそうだ。模様によって名前が違う、和金、更紗、琉金、丹頂。金魚の模様がどうだ、この色はどうだと言いながら金魚やさんで買う江戸の町人はのんきでいいなあと思う。

金魚は鮒の突然変異を隔離して増やしたのだそうです。水族館には鮒もいた。なるほど、確かに似ている。

その日私は、マティスの金魚のような赤いワンピースを着ていった。

☆アナログハイパーリンクな読書
すみだ水族館→『ねじまき鳥クロニクル』→『歓喜の歌』→マティス『金魚』

2017/04/10

最初で最後のチャンス逃す

村上春樹が東京でトークをする。東京では最初でおそらく最後だろう。抽選に漏れる。がっくりした。2017/4/27 新宿紀伊国屋にてだった。

☆アナログハイパーリンクな読書

村上春樹『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事』

→トークイベント「本当の翻訳の話をしよう」

2017/03/26

「TOKYO / JAPAN -JAN 2017- 」掲載の写真作品7点 作品解説

掲載作品の撮影場所は、以下の通り。
-恵比寿ガーデンシネマの化粧室 2点
-東京武道館 清水ミチコライブ会場 1点
-個人宅にて誕生パーティ 3点
-JR新橋駅 1点

久しく私は「lost myself」の状態にあり、自己をどのように確認するのかを制作の基軸にしている。最近、視る自己と視られる自己をテーマに鏡に描く作品を制作しているが、本作においても従来と同様の問題意識で制作した。私にとっては制作行為が「finding myself」そのものである。

恵比寿ガーデンシネマの化粧室は特徴的な内装である。控室のような電球と円形の鏡が置かれ、化粧直しができるようになっている。周囲には、往年の映画スタアのブロマイドが額装されている。あたかも映画関係者になったかのような雰囲気がある。

もう一角では、映画スタアのブロマイドの隣りに、同様の額の中に鏡がある。鏡に映る自分の姿と、映画のワンシーンとを並べて見ることになり、視ると視られるが交差する場になっている。

 

東京武道館はその日、他人になりきる芸を披露する清水ミチコのライブ会場であり、その看板が見える。自分が他者になること、思えば不思議なことである。ライブでは小池都知事、ユーミンが「登場」し、作曲法モノマネで椎名林檎など。単に似ているモノマネを越えて、その人ならこういうこと言いそうだ、実は本心はこうなのでは、と批判的な視点を提供している。

現代において誕生日とは個人に固有のものの最たるものではないか。個人特定が可能なものであり、他人にとっては何でもない日が本人にとっては一年で最も特別な日。独立記念日、終戦記念日、災害・事件の起こった日といった国や地域にまつわる日はコミュニティ共有の記憶を呼び起こすが、誕生日とは実に個人的なものだ。それを本来無関係の他者が祝う行為。ケーキ、プレゼント、パーティのあとで持たされるお土産etc.。

 

新橋駅。ちょうど赤瀬川原平の本を読んでいて、本の中の場所と私が今いる場所が同じであることに気づく。内科画廊はもうないが、「あのな、ここは馬券売ったり、いろいろシゴトの場所だからな」と言われるここでは今も車券が売られている。本の中のことと実在の自分が交錯した瞬間。

 

 


「TOKYO / JAPAN -JAN 2017- 」:2017年1月中に東京で撮影された写真を集めたフォトマガジン 35名参加、A5サイズ、厚さ5mm、全56ページ、1080円(税込)。

「TOKYO / JAPAN 」は、刻一刻と変化していく大都市「東京」の姿を記録する参加型ドキュメンタリー写真集 EINSTEIN STUDIO 発行

【取り扱い】
■EINSTEIN STUDIO online shop
http://einstein.onlinestores.jp/
毎月発行されるため他の号もあるのでご注意ください。他の号には参加していません。

■amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B06XKKVXBM/ref=pd_sbs_14_t_0?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=A10WDKQS95P90FCR0WCA

■代官山蔦屋書店
http://real.tsite.jp/daikanyama/floor/shop/tsutaya-books/

■私の手許にもありますので、1080円/冊で販売いたします。送料はサービスします。東京三菱UFJもしくはゆうちょ振込、振込手数料はご負担ください。メールもしくはcontact よりご連絡ください。

2017/03/21

タイ、新潟、ブラジルをつなぐもの

レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』をフウフウ言いながら読んでいる。課題図書として読んでるから、捗らない。やになった頃、スカイランタンを先住民の集落でやってみせたという記述。それを足がかりに、落とされないようにしがみついて読もう。ようやくおもしろいところにさしかかってきたようだ。
レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』

☆アナログハイパーリンクな読書

構造主義→レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』←作家のMさん、津南町雪まつりスカイランタン←映画『プール』

本当に最後は星のようになった 新潟県津南町にて