カテゴリー別アーカイブ: アナログハイパーリンクな読書

2019/01/15

ナイロビからの来客 遠来のような近いような

友人のキュレータが企画する展覧会のお手伝いに千葉の大学に行ってきました。ケニアの作家の作品は、補色が大胆に使われていて、でもわざとらしさが感じられず、ただシンプルに世界を見えてる通りに描いたらこうなった、という印象を受けました。赤道直下で光が強く影がくっきりできるからかなあ。

お土産にコーヒー豆を頂きました、おおっ本場のケニアコーヒー!

世界都市ナイロビでは英語とスワヒリ語が使われていると聞き、スワヒリ語の文法書を日本で初めて作った文化人類学者の西江雅之さんの展示と本の話をしたら、いつでも泊りにおいでと言われてうれしい日。

☆アナログハイパーリンクな読書

ケニヤの作家の展示→『新「ことば」の課外授業』西江雅之(白水社)

文化について考えさせる。

2019/01/15

新年はお神酒で日本酒風呂

星座別開運初詣スポットについての特集記事を読み、「ヨシ、神田明神に行こう」と急に思い立った。潔斎して出かける。

お茶の水駅からすぐでアクセスも良く、境内もさほど広くなく、混雑具合も「お賽銭箱まで遠いけど投げるしかない、警備員はヘルメット着用」ということもなく、ちょうどいい感じ。神馬(しんめ)のポニーのあかりちゃんが物憂くねそべっていたり、猿回し芸が披露されたり、のどかな雰囲気。江戸時代ってこんな感じ?

参詣の列に並んでいると、「お餅何個食べた?」とかいう隣りの人の会話が聞こえ、ほんとにそういう会話する人いるんだ! と驚く。そんなことは漫画の世界だけだと思っていた。会話の感じからこれから親しくなって行くのかなとなんとなく二人の関係性が推し測られ、微笑ましく思う。

クッキーとか味噌や甘酒、手ぬぐいやせっけんといったちょこっとしたお土産を売っているお店が境内にあって、みんないそいそと買いこんでいる。私もすっかり修学旅行気分で「神田明神のお神酒」を買った。

心理カウンセラーの友人が勧めてくれた本にあって半年前から始めた焼酎風呂だけど、お正月だから特別にお神酒を風呂に入れた。いい匂いがする。あったまるし、縁起がよさそう。神田明神は酒造りでも名高いのだそうだ。

実家に帰ると母が用意していたのは手巻き寿司パーティ。いつもは本格手作りおせちなのに、どうしたんだろう。あれ、本当にママか?そんな冗談を言って過ごした。

神田明神のお神酒

スクナヒコナのみこと

☆アナログハイパーリンクな読書

改訂 精神科養生のコツ』神田橋條治神田明神

2019/01/13

年末年始は源氏物語読破!

年末年始6日間は毎日、角田光代訳池澤夏樹個人編集『源氏物語』を読み、ついに読破した。というとすごそうだけど、角田さんの訳は「長編小説としてバーッと駆け抜ける」ことを目指して、敬語と脚注を大胆に省いた訳なので、まとまった時間と集中があればなんとか可能だった。

上巻と中巻合わせて1200ページ、6日間で読むとすると毎日200ページ、とノルマを課して読み進む。上巻は、受験やその後に入院や講座なんかでちょこちょこと読んだことがある章が多く、あのシーンね、と思いながらなんとかくらいついている、という状態だったが、中巻になると、突如ぐいぐいと物語に引き込まれてしまった。ノルマの200ページをとうに超えて夜中じゅう読みふけって明け方になった日もあった。上巻を読むあいだ自分自身が源氏物語の世界に慣れてきたのかと当初思ったが、訳者あとがきにこうあるのを見て得心がいった。

この中巻のあたりから(略)位相が変わった、と思う理由のひとつである。(略)この作者は、負の感情、弱さや迷いや苦しみを書くときに、筆がずば抜けて生き生きしている、と。

やはり作品に力がみなぎっているのだったか、と。

作者がこまやかに描く感情は、あるひとつの「状態」ではなく、他者に触れ、また触れられ、何を見聞きし、何かを知り、夢であれうつつであれ何かを体験し、刻々と変化し続けていくとらえどころのない、しかし確固たる人の軸として、描かれている。何かを見てしまった、知ってしまった、あるいは聞きそびれてしまった、それゆえに、感情が動き、私たちを突き動かす。その動きを線でつなげてみれば、運命ということになるのだと思う。

私たちが小説に魅力を感じるのは、こうした感情の背景だと思う。楽しい、つらい、悩む、困る、概念化し一般化した感情ではなく、その人のその体験による個人的な感情の色あいや濃さといってもいいもの、それはでもその人だけのものとして見ているのではなく、私も物語世界の中で体験する。他人事じゃなく、自分のこととして感じられるのが、よい小説だと思う。それは運命だったのか、と思う。運命が書かれていたのか、と。

ここ数か月、制作に直接関係のないことをblogに書くことに何の意味があるのだろうかと懐疑的に考えていたが、こういう出来事があって動かされた感情、というものを書いているのか、と思い返した。

しばらく間が空いたが、また書いていこうと思う。

 

☆アナログハイパーリンクな読書
池澤・角田トークセッション→『源氏物語 上』 (角田光代 翻訳、池澤夏樹 個人編集 日本文学全集04) 、『源氏物語 中』 (角田光代 翻訳、池澤夏樹 個人編集 日本文学全集05)

2018/11/14

なぜ我々は物語を必要とするか

池澤夏樹が質問に答え、それは、我々は他人の人生にとても関心が深いからだ、と言っていた。他人の身に起こったことに大変興味がある、他人の運命に強い関心を持つ。それがまとまった形で読めるのが物語だと。

このところ、そんなさまざまな人が登場する小説をたてつづけに読んだ。温又柔『空港時光』、沢木耕太郎『彼らの流儀』。これまで小説は、登場人物に没入し、つまり自分が他の人になるのが面白いのだと、登場人物に自分に置きかえて読んでいるのだと思っていたが、そういうことかと思う。

ふとした弾みに、もしも~だとしたら、と考えるのは私の子どもの頃からの癖である。もしも生まれた台湾で育っていたら。もしも生まれた時から日本人だったら。もしも日本ではない国で育ったのなら・・・・・そうであったかもしれない自分と、そうではなかったかもしれない自分。架空の私がことあるごとに彼方で点滅しているのを感じる。(『空港時光』)

☆アナログハイパーリンクな読書
温又柔『空港時光』 沢木耕太郎『彼らの流儀』池澤夏樹=個人編集 日本文学全集
『源氏物語 中』刊行記念 角田光代さん×池澤夏樹さんトークイベント

2018/11/14

きっかけ

番組に出ないかとテレビ局のディレクターという人から電話があったのを、私はそれほど迷わずに断った。企画内容が私の制作にプラスになるようには思えなかったから。でも今頃になって、出たらどうだったろうと思う。それが何かのきっかけになったのではないか、よいことにつながる機会を私は潰してしまったのではないかと。書道家の知人がその番組に出演したら、それを見た別の番組からオファーが来た、思わぬとんとん拍子に進んでいる、と近況報告をくれたとき、わたしと彼とは目的が違うからとそのときは何とも思っていなかったのに。

沢木耕太郎の『彼らの流儀』には、ふとしたことがたまたま人生を決めていく様子がさまざまに描かれている。偶然傘のブランドを立ち上げた人、化学会社に勤めていたのをCM出演がきっかけでテレビ制作会社に転職した人、砂漠に行ったことからアラビア書道家になった人。

もちろん、彼といえども最初から傘屋だったわけではない。少なくとも、大学生の頃は自分が傘屋になるなどとは思ってもいなかった。(略)傘を扱うことになったのは偶然にすぎない。しかし、(略)傘を介して人とつながっているという確かな感触があった。(『彼らの流儀』)

他人はよく尋ねる、なぜそうなりたいと思ったのですか? それをやろうと思ったきっかけはどんなことですか? 納得しやすい筋道が通った理由を求める。でも、こうなりたいと明確に意思があってなった人が少ないのではないか。こうして人は偶然に何かになるのではないかと思う。とすれば、その偶然を私は失ったのではないか。あの時にこちらを選んだら、あったかもしれない人生について思う。

その一方、それを断った、という人も出てくる。コミュニティに誘われ、もちろん便利だったろう、でも、困難な道を選んだ元空手家のアメリカの警察官。旅を止めたら失わずにすんだかもしれない息子。

何でも闇雲にトライするのがいいわけではない、慎重に進めることも、断ることがかえって何かのきっかけにだって。先が見えない我々は、どちらがいいか、その時その時に自分で決めるしかできないのだけど。

しかも、どれがいい、ということさえ我々にはわからない。病を得たムンクは《叫び》を世に送り出し、レジオンドヌール勲章を受けるもナチスの敗北を見ずに死んだ。学校を出て、技師になった人生はどうだったろうか。

☆アナログハイパーリンクな読書
沢木耕太郎『彼らの流儀』→ムンク展

2018/10/20

秩父への旅 要塞とはじめての魚釣り

先日、秩父に材料の石採集に行った折、途中、大きなダムを見学しました。この威容は、そうだ見たことある、突如出現した古代メソポタミアの城ジッグラトだ。この妙な符合に、これは現代の要塞なんだと感じました。思えば、水が出てくる口はまさに大砲、梯子で攻め入るのは到底無理な130mの堤高です。高さとしては30階建てマンション、もはや珍しくない程度。でも周りに比較するものがないせいか、とてつもなく巨大に迫ってきます。足が震えながら下をのぞくと、公園が何も加工せずとも本城直季の作品のようでした。

前2100ごろ ウルのジッグラト(『西洋建築史圖集』

帰りには「はじめての魚釣り」。絵画教室に来る一人の子から夏にキャンプに行った話を聞いて、私もやってみたくてしかたなくなりました。難しい? 道具もくるくる回すやつが必要なのかな? ううん、そんなことない、釣り竿も棒に糸を付けただけのものだという。ならできるかなあ?

でも最初全然釣れないし、糸はこんがらがるし、釣れないのはエサが悪いせいにしてムクレたり。じょーじみたいに「きっとつれるでしょう」なんて出かけて行ったところが、「それならケーキをさかななんかにやってしまうことはないのです」なんてことにならないといいけど!と思ってたのが、本当になってしまいました。

でも、だんだんコツがわかったのか、手首をくいっと上げてみた、恰好だけは『海街diary』の千佳ちゃんみたいに。

結局はたくさん釣ってその場で塩焼きに、帰ってからはムニエルに。これで私も「魚釣りをしたことがある子」になったよ。

アナログハイパーリンクな 読書
滝沢ダム→本城直季、『西洋建築史圖集』
渓流釣り→『たこをあげるひとまねこざる』、『海街diary』

2018/10/02

思わぬところで見つけることがあるものです

国立新美術館は黒川紀章の設計。うねるガラスの壁がとっても不思議な建物ですが、世界の名作椅子が館内のあちこちに使われていて、実際に座れるのも特徴です。

「メインエントランスからは少し隠れたところにそっと置いてあるのが、「白鳥」と「卵」という名前の北欧の名作チェア。余裕があれば寄るつもりです。デンマークのアルネ・ヤコブセンの作品で、本当に白鳥と卵の形をしているんですよ、ええっと、どんな形かというと・・・おっと、それは見てのお楽しみ」

そんな話を小学生の美術館ツアーの事前レクチャーでしています。

美術館は、展示品だけじゃなくて、その周囲のものも一緒に鑑賞できるのが、いいところ。知らないうちに、世界のデザイン、建築、歴史に触れているのです。子どもが美術館に行く時、わたしは、そのときはあまりよくわからなくてもいいと思っています。大人になって、あれってこれだったのか!と思えばいいんじゃないかな、と。

ところで、先日、明治期に建てられた実業家の旧宅での展示を観てきました。そしたら、お庭にアーカンサスの葉が! 学生のころ、コリント式柱頭は「白菜とワラビ」と覚えるように習ったあの白菜のほうの葉っぱです。ええっ古代ギリシャにしかない植物だとばかり。ホラ、これも「大人になってあれってこれか!」という体験。

家用玄関前庭に植えられたアーカンサス

「世界を変えた書物展」 より ヴィニョーラ『建築の5種のオーダー』 コリント式柱頭はこれ

旧田中家住宅(埼玉県川口市)

コンドルの弟子の弟子にあたる建築家による設計

表玄関(会社玄関) 上部にローマ字の社名が入っている 煉瓦は現場で焼いたという

家用玄関 バルコニーがいい

庭から

雨粒がついてるみたいなかわいい照明器具

洋室

2018/09/22

新しいモノ、コトの名前

上野の森美術館で開催中の「世界を変えた書物展」に行ってきた。

もちろん私は、ルドゥーのショーの理想都市やパラーディオの「建築四書」、パンテオンの立面図、断面図に釘付けだったのだけど(そういえば私がもっとも好きな建築ベスト5だった)、ほかの部門も興味深く見ているうちに、「飛行」部門の図版にふと注目した。

空を飛ぶ乗り物を発明するのに、まだ名前のないそれになんと名前をつけようか、風船がいくつも取り付けられた乗り物の図には「飛ぶ船」と書かれていた。よく見ると乗る部分は船そのものだ。今まで見たことがないものは、すでに知っているものを援用して名付けるだろう。それが「飛ぶ箱」ではないことに、発明家たちはまるで海を渡るように空を渡る乗り物として捉えたのだろうと思うと、そのロマンティックな命名を微笑ましく思った。まさに飛行は人類の夢。想像上のものを実現化しようとする思いが込められた名前が秘めた可能性にワクワクする。想像の世界にしかないものがこの手に!という興奮、それを共有し伝播するのが名前だ。

新しいモノ、コトを名付けるのは、その後の行方を左右する大事である、と強く思った。社名も商品名も作品もペンネームも。

「モンゴルフィエ兄弟の気球体験記」(1783-1784)初版

Batteau volant とある。tが二つなのは、古語だろうか。

それにしても、グーテンベルグの発明がすごいと思うのは、活字にすると、くずし字など書体を解読する必要なく300年前の本でも解読が容易だということだ。

展示会場の様子

☆アナログハイパーリンクな読書

「世界を変えた書物展」→『モンゴルフィエ兄弟の気球体験記』

2018/08/31

自主的缶詰生活 for TOEIC

夏は普段できないことをやろうと集中的に英語の勉強をしていた。

2年前に北海道で滞在制作した折利用した作家専用のレジデンス施設は、海外の作家も多く滞在していて、さながら外国の学生寮。簡単な挨拶しかできなかったから、もっとお互いの制作について深く話したりできたらとも、次は海外のアーティスト・イン・レジデンスに行ってみたいとも思った。

海外派遣の審査で必要なのはやはりTOEICだと、この夏は久しぶりに受験生のように勉強をしていた。結果発表があり目標の700点越え。予想以上の出来に満足、この調子で次は800点を目指そう!

勉強の息抜きにアメリカ横断の旅の映像を見たら、今までアメリカにはあまり興味がなかったのに、急に行ってみたくなってきた。グランドキャニオンいいなあ、地球じゃないみたい。

アメリカで大人気の観光スポット☆ グランド・キャニオンで過ごす朝!〔#657〕【🇺🇸横断の旅 58】バイリンガール英会話 | Bilingirl Chika

☆アナログハイパーリンクな読書

TOEIC→『水曜どうでしょう第15弾 アメリカ合衆国横断』(HTB 北海道テレビ)→『チャンネルはそのまま!』(佐々木倫子作)→『人生で一度はやってみたいアメリカ横断の旅 バイリンガールちかの旅ログ』(吉田ちか著)

「水曜どうでしょう」番組の前枠・後枠に映る公園。あれ、この植生、なんか見覚えある、と思ったら、撮影場所は、私が2016年に滞在したレジデンス施設のすぐ隣りらしい。懐かしくてまた札幌に行きたくなった。

つまり『チャンネルはそのまま!』のモデルになったテレビ局があんなにそばにあったということだ。とはいえ、onちゃんとは決定的に違うような気が、、、。だって、ホシイさんは「中の人はいない!」だもの。

北海道のAIRについてはこちら

札幌AIR報告 (0)目次

2018/07/14

芸術鑑賞レッスン いわさきちひろとの出会い「ちひろの技法で絵を描こう」

主宰する絵画教室で、今度いわさきちひろの美術展を観に行くので、その事前レッスンを実施しました。

まず画集でちひろの絵を鑑賞。ちひろはね、書道も習ってたんだよ、それで絵の描き方に書道の方法を持ちこんだんだ。

にじみ効果のあるたらしこみの方法を解説する。

ほら この絵のここのところ見て!この方法を使って描いてるよ。みんなもおんなじようにやってみよう。

きれいなのができた! あまりたくさんの色を使わないのがコツだよ。それと紙を動かしすぎちゃうと混ざって1色になっちゃうよ。

だいたいわかったら、次は女の子の髪の毛を同じ技法で描いてみようか。ちひろは子どもの絵を9000枚以上描いたよ。

それで私が描いた絵。にじんでいい感じだ。

教室では私も一緒に描いてる。これがお手本っていうんじゃなくて、ただ一緒に描く。髪の毛が乾いたら赤い髪飾りも描くんだーとか言いながら、そんなふうに楽しんでいるのを見せるのも指導だと思って。

次回は、海の絵を描こうかな。

ちひろについて私が明確に自分で選んだと思うのは、『赤い蝋燭と人魚』だ。それと『絵のない絵本』。思い出すだけで胸が締め付けられる。

その後、大人になって読んだ「靴を買ってあげましょうか」と言った話しは、まさに恋に落ちる瞬間、映画に出てきてもいいぐらいいいセリフだなあと思う。たまにつぶやく。ベタな表現だけど、キュンとする。

☆アナログハイパーリンクな読書 いわさきちひろ →『赤い蝋燭と人魚』小川未明 『絵のない絵本』アンデルセン