2019/07/11

夢読み

ゾウの骨は、ゾウっぽくない。鼻のところに骨がないから、馬と言われてもわからない。
パンダは、固い竹を食べられるように奥歯が口の奥のほうまで生えている、まるで親知らずが生えたみたいに。頭には筋肉がいっぱいついているそうだ、人間はあまりない、調理を覚えて以来やわらかいものばかり食べているから不要だ。
ライオンは肉食、歯がハサミみたいに交差して肉を噛み切る。
シマウマは歯が人間みたいにかみ合わせが良くない、横にすりつぶして食べるから。
そんな話を聞きながら、頭骨を撫でているうちに、
手の平を通して、記憶が移っていくのを感じた。映画やアニメなら、手で触っている間、記憶の映像が目の前に現れ、ハッとして手を離すと消える、というシーンだ。もちろん、目の前に何かの映像が見えたわけではない、あくまでも感覚として。
そして、これは夢読みだ、とわかった。

文字のないページの大きな本を読む。文字ではなく、読めない図像を読み取ろうとするのも、夢読みにつながる行為に思えた。
そうだ、せっかくだから生きたパンダも合わせて見てこようと思い、動物園に行った。40分並んで子どものパンダと親パンダを見た。ライオンがワオワオ咆哮して恐ろしく、ゾウは鼻をくるくると巻いて床に置いてあるパンを上手に拾っては食べていた。本当に鼻には骨がないのだな、この頭にあの骨が入っているのか、ふむ。
頭骨は、記憶をとどめているものとして、とても適切なものだという感覚を得た。
一人に一つしかない、栄養状態が刻まれ、けがのあとは残り、思いを残してきた頭を包み、きっと肉が腐った後も思いがしみ込むはずだ。

(半年前ぐらいに書いた文章で、今になって「夢読み」というキーワードが重要な意味を持つことを発見したので、公開することにした。)

 

展示「アナウサギを追いかけて」(演出:羊屋白玉 美術:サカタアキコ 制作協力:森健人)京成電鉄旧博物館動物園駅駅舎にてより

国立動物園で保管されているホワンホワンの頭骨

原寸大レプリカ

 

シャンシャンのお尻。

 

京成電鉄旧博物館動物園駅駅舎

 

☆アナログハイパーリンクな読書
展示「アナウサギをおいかけて」→『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹