2018/11/14

なぜ我々は物語を必要とするか

池澤夏樹が質問に答え、それは、我々は他人の人生にとても関心が深いからだ、と言っていた。他人の身に起こったことに大変興味がある、他人の運命に強い関心を持つ。それがまとまった形で読めるのが物語だと。

このところ、そんなさまざまな人が登場する小説をたてつづけに読んだ。温又柔『空港時光』、沢木耕太郎『彼らの流儀』。これまで小説は、登場人物に没入し、つまり自分が他の人になるのが面白いのだと、登場人物に自分に置きかえて読んでいるのだと思っていたが、そういうことかと思う。

ふとした弾みに、もしも~だとしたら、と考えるのは私の子どもの頃からの癖である。もしも生まれた台湾で育っていたら。もしも生まれた時から日本人だったら。もしも日本ではない国で育ったのなら・・・・・そうであったかもしれない自分と、そうではなかったかもしれない自分。架空の私がことあるごとに彼方で点滅しているのを感じる。(『空港時光』)

☆アナログハイパーリンクな読書
温又柔『空港時光』 沢木耕太郎『彼らの流儀』池澤夏樹=個人編集 日本文学全集
『源氏物語 中』刊行記念 角田光代さん×池澤夏樹さんトークイベント