保育士対象の研修をおこないました

「わくわく!好奇心を刺激する絵のレッスン」というタイトルで、
保育士対象のレクチャーとワークショップをおこないました。
■日時 2013年12月11日 13:00~14:40
■場所 埼玉ヤクルト販売株式会社別所センター
■主催 埼玉ヤクルト販売株式会社

保育所のリーダー保育士さんを対象に、前半はレクチャー、後半はワーク、という構成で実施しました。
レクチャーでは、「わくわく!好奇心を刺激する10のレッスン」を紹介し、
ワークでは、「ことばから絵へ」とペアになって「講評会」のワークショップを実施しました。

以下、実況風に報告します。


レクチャー わくわく!好奇心を刺激する10のレッスン

「これおもしろい! もっとやりたい!」そう思うことが、絵に限らず何でも大切ですよね。大人になるとね、「何を描くか・作るか」を重視しがちですが、その他にも絵を楽しむ方法はたくさんあります。私どものアトリエでは、「絵を描くっておもしろいよね」と感じられるように、いろいろな角度から絵を楽しむことを考えてレッスンをしています。

♪ 絵を描く場所を楽しむ

♪ 身体運動として楽しむ

♪ 画材の感触を楽しむ

♪ 「だれかと一緒」を楽しむ

♪ 「WHAT」じゃなくて「HOW」を楽しむ

♪ 色を楽しむ

♪ 遊びの流れとして楽しむ

♪ 感情を楽しむ 例えば「好き」

♪ 絵本とともに楽しむ

♪ お話を楽しむ

これで、10のレッスンをご紹介しましたが、もちろん、絵の楽しみはこれだけではありません。他にもたくさんありますし、やはりその「場」や「人」に合わせていろいろ工夫するのが、一番大事です。もちろん、いくつか組み合わせてもいいですよね。

いつもやっているアクティビティに、「実はあれは、こういう意味があったのかなぁ」なんて違った角度から発見するかもしれませんね。

これが正しい方法ですよ、というのじゃなくて、みなさんの日々のご活動の何かのヒントになればと思っています。


ワークショップ「気持ちをお話しするレッスン」

「感情を楽しむ」と「物語を楽しむ」をミックスしたものを、大人向けにアレンジしたワークです。これは大人向けなので、子どもには難しいですし、今日はどちらかと言えば、絵って楽しいものだよね、と感じていただけたらなぁと思って、ご用意しました。今日は、ご自身のために絵を楽しんでくださいね。

テーマとしては、「絵は気持ちをお話します」というのをテーマにしたいと思います。なかなか言葉では表現できないことも、絵なら表現できるかもしれませんね。

まず、隣りの人とペアを組みます。さらに大きなグループに2つに分かれます。

「あたたかい」グループと「夜空」グループ、それぞれ絵を描きます。

まず、「あたたかい」グループの方、「あたたかい」と聞いて、思いうかべることってなんですか? 
ココア、セーター、あったかい温泉、いいね、手ぶくろをほっぺに、缶コーヒー、夕食のシチュー、夜中に食べるラーメン、食べ物ばっかりになっちゃったけど、おひさま、太陽っていうのもいいね。どういうシチュエーションも考えよう。そこにはだれがいる?どんな場所?時間は?朝、昼、夜? 季節は? 誰かからプレゼントもらったときの気持ちもあったかーいね。お部屋で雪が降ってるのを見てるのもいいね。もちろん、あったかーい色、色だけで表現してもいい。

今度は「夜空」グループの方。思いうかべてください。
月は出ていますか? 星は?UFOは? 銀河鉄道は? 花火は? 音は聞こえる?どこで見てる? 都会?田舎? 寒い?暑い? ねころんで見てる? そしたら全面が夜空。虫になって見たら、草の間に空。 月もね、三日月でも満月でもいいよ、大きさも考えて、色も考えて、1Q84みたいに月が二つでもいいし、緑色の月もOKですよ。砂漠の月夜なんていうのもいいね。星だけっていうのもすてき。

OK? それで描くときですが、できれば自分が体験したことを思い出しながら描いてみてください。絵そのものは創作でもいいですし、本当にあったことでもいいです。

じゃあ、描いてみましょう。えっとね、だめな絵っていうのはないですから、大丈夫ですからね。20分で描きましょうか。


ワークショップ 「ロールプレイ 講評会」

これから、絵のお話をペアでします。

まず作者の役の人から、自分の描いた絵を相手に見せながら絵についてお話しして、それに対して、見る人が話をする、というロールプレイです。

 

 作者   鑑賞者(見る人)

 まず作者が絵を見せながら説明します。

「この色は~をあらわしています」「ここは~を表現しています」「これは~です」など、自由に説明します。

  つぎに、見る人がこのような文章で「発見」を伝えます。

「ここが~でいい」「ここがおもしろい工夫だと思う」「この~がユニークです」

 

お話しのときのルール 「安心・安全」のためです 必ず守ってください

○常に一人の人が話します。だれかが話しているときには、他の人は話さないでください。

○見る人による質問(これは何ですか? どうしてこう描いたのですか?)、疑問(ここがわかりません)、アドバイス(もっとこうしたほうがいい)は禁止です。

○見る人は決まった文章(「ここが~でいい」「ここがおもしろい工夫だと思う」「この~がユニークです」)で発言してください。いいところを見つける「発見」をこころがけましょう。

○見る人の発言が作者の意図とはちがうかもしれませんが、作者は「そういうつもりじゃない」ということは言わないでください。

 


じゃあ、まず「作者」の人だけが話します。3分、ストップウォッチで計りますので、時間内で終わっちゃったら、そのまま静かにお待ちください。絵のことを自由に説明してください。もう一人の人は話さないでください。では、どうぞ。

では次に「見る人」がおはなしします。2分です。今度は、決まった文章で話してください。ルールに注意しながら、やってみましょう。同じように時間内で終わったらそのまま静かにお待ちください。

では、次に役割を交代します。作者と見る人が交代してください。

まず、作者の人が3分話します。つぎに見る人が2分お話します。

 

気持ちのシェア

いかがでしたか? 絵っていいでしょう?

ちょっと今の気持ちを何人かの人にお話していただきましょうか。何の絵を描いたかじゃなくて、絵を描いて絵を見てお話をして、今どう感じているか、ということをですね、シェアしようかなと思います。話したい方、いらっしゃいますか? 

 

あたたかいとか夜空とか、同じテーマでもそれぞれの人が違ったことを考えていますよね。

もちろん、同じなところもあります。

いずれにしても、それぞれの人がこめた思いというのが絵に表れていますよね。

それは、絵は気持ちをお話するからです。

人が違うので、思っていることが違うし、これまで体験したことも違う。

だから絵が違ってくるのです。一生懸命描いたら、みんないい絵になります。

ただ、絵は気持ちをお話するものですから、「安心・安全」じゃないと、気持ちを出すことはできません。そのために今日はルールを設定しました。

それから、絵を描いていると、実は自分はこんなこと思ってたんだ!とかね、あらためて自分自身を発見することもあります。

それから、自分の気持ちがちゃんと相手に伝わるととてもうれしいと思うのです。

人間には表現する喜び、それからそれが相手にちゃんと伝わる喜びがあって、それが芸術の役割です。

中でも絵っていうのは、小さい子どもから大人に至るまで、自分の気持ちを表現するには

大変いいものだと私は思っています。

これで、私の話は終わりです。ありがとうございました。


 研修後の感想

積極的な発言も質問もたくさんあり、大変盛り上がった研修でした。

事務局の方からいただいたアンケートからいくつかご紹介します。

―絵のレッスンが楽しかったです。最初は、絵は苦手だなぁ~と思っていましたが、描いてみるととっても楽しかったです。」

―好きな絵を描いて、いっぱいほめてもらってとても楽しく印象に残りました。子どもたちをもっともっと褒めてあげようと思いました。

これからやってみたい保育活動は?

―自由な製作です。(3歳児以上)

―材料を並べた中で、自由な発想や思考力を育てたい。

―出来れば私も一緒にやりたい。

―今回の研修を生かし、色んなことに展開して、発想力豊かに保育の活動に取り入れていけるよう楽しみたいと思います。


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