(12)AIRの制作作品
≪線のおしゃべり≫ 1000×4200mm 和紙、万年筆
展示会場の階段の吹き抜け部分に展示するために制作した縦長の作品で、鑑賞者は階段に沿って上下移動しながら鑑賞する。吹き抜けの真ん中に展示するため、表からも裏からも鑑賞できるように半透明の和紙を使用した。
遠くから見ると何も描かれていないようだが、近寄ると線が描かれているのがわかる。
六花ファイル収録作品≪線のおはなし≫は、1本の線で進む絵で、いわば一人の独白だったが、さらに発展させて二人の会話をモチーフにした。
赤と青は、万年筆のインクの色、言葉を書く色。2色の線が会話するように絡み合ったり離れたりして進む。
縦方向に長いので、上の部分を見ている人は下の部分の線は見えない。会話では、今のことしか考えずに話し、話したこと聞いたことをすぐ忘れてしまう特性を表している。
スタジオの展示スペースで試験的に展示した様子
ここは天井高3mだが、実際は6mの場所に展示する予定。
≪I cannot see myself as you can see me≫(仮題)
1000×2000mm 和紙、水性インク
セルフヌードをモチーフに、自分のことは自分で見られないことをテーマにした作品。
鏡や写真を見ながらポーズを決めても描くときにどうしてもポーズが崩れる。記憶で補って描くとき、そこに自分の想像、こうありたい形が入り込む。鏡で自分を見るとき、映った瞬間にこうありたい姿に変える、自分の目では自分自身を見ることができない。
肌に似た色とテクスチャーの和紙を使い、フラジャイルな身体を表現した。
≪空に描いた絵≫・・・スタジオ2階の窓ガラス マーカー
≪地に描いた絵≫・・・スタジオ1階の窓ガラス マーカー
風景と一体になったサイトスペシフィックな作品で、観る人の角度によって、あるいは外の天候や季節によって絵が変わる。
≪鏡の中の自画像~線に囲まれた私≫ 400×1220mm 鏡、マーカー
「私」とは鑑賞者であり、誰でも自画像の中に入り込める作品。自分が絵を見ているのに、絵の中から見られている感覚を得る。