(8)立地
最寄り駅まで徒歩11分、そこから札幌の中心部大通(おおどおり)までは地下鉄で7駅12分と、便利な住宅地のなかに天神山緑地はある。その頂上にスタジオはある。山の上のスタジオという名前にふさわしく、眼下に札幌市の町並みが広がり、向こうには藻岩山が見える最高の眺め。
公園は市民の憩いの場となっており、私が滞在したGWはちょうど桜が満開、花見客でにぎわっていた。ここは市内では「穴場」だとのこと。桜で有名な円山公園や中島公園ではジンギスカンをするので煙がもうもうとするのだそうだが(スタッフのKさん談)、ここは火気厳禁のためレジャーシートを敷いてピクニックタイプの花見をしている人たちが多く牧歌的な雰囲気だった。中にはテントを張って本格的な花見の人も。朝夕には近所の人が犬の散歩に来ていた。雪に閉ざされる冬には人はほとんど来ないらしい。
緑地全体はかなり広く、手入れが行き届いている。桜の林のほか、白樺の林、林檎林、梅林などの林、日本庭園、子どもの遊具のあるエリアもあるし、芝生広場もある。
当初、名前も「天神山」だし冬の写真を見たら雪山だったせいもあって、不便な立地なんじゃないかなと思ったほど山奥にあるような印象を持ったが、実際は町中にある。徒歩5~10分で24時間営業のスーパー、コンビニ、ATM、郵便局があるので買い物や飲食にも便利で、地下鉄駅と空港バス停もすぐなので空港から来るのも都心に出るのも簡単で、生活に不便は感じない。市街地にあるのに急に深い森というこの感じは、東京でいえば有栖川公園のようなものだろうか。
こうした場所にスタジオが立地していることが本AIRの大きな特徴である。
☆桜が満開で園内は花見する市民でにぎわっている 浮き立つような気候
私はずっと部屋にこもって制作することが多く、人とはほとんど会わなかったが、窓からは白樺の木立が見え、緑地内を散歩して心が慰められた。2階のバルコニーは滞在者のみが利用できる場所であり、気分転換に外の空気を吸いに出ると、札幌の町を見はるかす眺望を独り占めできた。
☆部屋からの眺め 朝の風景