(7)運営者とスタッフ
建物は札幌市の所有で、市の公募により選定された管理運営事業者が管理している。スタッフが事務所に常駐している。公募プログラム、イベントなどスタジオによる企画運営、滞在作家の対応の他、スタジオは公園の休憩所でもあるので公園を訪れる市民の対応もしている。海外作家の利用が多いため、スタッフは全員英語が堪能である。
地元の商店街ともつきあいがあり、海外のレジデンシーが夜道に迷って飛び込んだラーメン店からスタジオに電話があってスタッフのAさんが迎えに行った、というようなこともあった。夜は園内が暗く道がわかりにくい。そのレジデンシーに後日聞くと、山に登ったはずがいつのまにか降りてきていたというダンジョン、道はいくつかに分岐している。まったく日本語ができない外国人が来ても、ああ、スタジオの、というように地元の人にも作家が滞在しているスタジオは浸透しているようだ。それに、商店街の飲食店側も客として滞在作家が利用してくれるのはいいことなのだそうだ。公園と1階の開放された共有スペースとあいまって、市民に開かれた雰囲気がある。
滞在作家によるスタジオの展示スペースでの展示・レセプションや緑地内でのイベントでは、スタッフとして撮影や準備、告知、誘導等イベントをバックアップするほか、その場でも積極的に質問したりして作家を盛り上げようとしていた。
スタッフはみなウェルカムな雰囲気でやあやあという感じだったが、一方でそっとしておいてくれたのが私には居心地がよかった。作家が活動しているときは邪魔をしないようにと思っているようだった。でも頼むと快く自転車や鏡や脚立、工具なども貸してくれて、おかげで私は快適に制作できた。
私のようにあまり人と余計な話をしない人間でも、10日間もいれば少し話すこともあり、Rさんに夏の展示のための打ち合わせに行くと言うと「休みの日に六花文庫に行ってきた」と気軽に私の展示に行ってくれたり、自転車をささっと修理してくれたMさんにはスタジオの背景を聞き、Aさんからは都心のギャラリーの展示情報を教えてもらい、六花文庫の近くの出身だというTさんとは文庫や本の話をし、2年前に私が東京でAIRのWSに参加した際のファシリテータだったAIRディレクターのOさんは海外出張中だったのでスカイプであいさつをし、そんなふうになんとなく仲良くなった。