会員制クラブ「黒眼鏡倶楽部」~中之条への道(36)

 黒眼鏡倶楽部とは、中之条ビエンナーレ公式作家のうち黒縁眼鏡をかけた作家のみで構成される会員制のクラブである。と言うと、なにやら排他的で少しく隠微な印象を与えるが、実はわたしが勝手に考えている架空のグループだ。

 黒縁眼鏡の作家は多い。そんな作家たちが集まってナニかやってると考えると、なんだか楽しくなってくる。しかも、わたしが好きな作家ばかりだ。

 会場が一緒で制作中も一緒だったTさん、別のアートイベントでばったり会ったTさん、作品を先に観ていてお話してみたかったIさん、作品に自信がなくてメソメソしていたら励ましてくれた亡霊仲間のIさん、アーティストトークがきっかけで仲良くなって伊参小のダンスも一緒に観たTさん、会期最終になってやっと話しかけてみたお友達のお友達のUさん、家族がこの作品が一番よかったと言っていたYさん。そういえば、知り合いの知り合いの知り合いという遠い関係だったのが実はビエンナーレ公式作家だったという偶然が偶然をよんだTさんもそうかも。会期中ずっと忙しそうにしていたMさんも入れよう。一大勢力である。なお黒眼鏡倶楽部は強制入会だから、やだと言っても入らざるをえない。

 という空想アソビをしていたら、その後、別の企画の担当者に会ったらその人も「黒眼鏡倶楽部」会員だった。わぁ、ここにも、と思った。お互いはじめましてだから、待ち合わせ場所で会う前に電話した、「ええっと、わたしは黒眼鏡でオカッパの女です」と言うと、「わたしも黒眼鏡の女です!」と。会員同士、急に距離が縮まった。黒眼鏡倶楽部はいよいよ隆盛を誇っているようだ。

 もう一つ「ワンピース☆クラブ」にもわたしは入っているが、こちらは弱小。ほとんどメンバーがいない。

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映画『かもめ食堂』がよかったので次作も観た『めがね』で使われていた白山眼鏡店の眼鏡。亡くなってから知った安西水丸さんとわたしをつなぐ細い糸だ。