2015/12/26

わらしべ長者的素材さがし

 ギャラリーのオーナーからボールペンはいずれ消えると聞き、あわてて画材さがしをしている。墨は何千年と保ってるし、鉛筆もいいという。万年筆はどうでしょうと訊くと、うん、まぁ、でも水性なのがちょっとね、とにかく墨か鉛筆だね。

 こぼれ話としては、レジェはボールペンが出たときすぐにとびついて、サインを全部ボールペンでしたそうだ、そのため現在はすべて消えていて、だから残っているとすればそれは贋物。鉛筆は残るしケシゴムで消えるのもいいというので、いったいどういうことかといぶかしく思ったが、精巧に印刷されたサインが可能だが、はじっこを消してみて消えたら本物だから鑑定がラク、とのこと。MoMAが買った磯崎新のプリント作品は、日のあたる銀行に貸し出していたら消えてきてクレームに、だから印刷もあぶない、これは後日シルクスクリーンにしたそうだ。

 恒久的に残すことや、贋物が出回るような作品という観点に立てば、という話ではあるが、これをきっかけに新しい素材に挑戦するのもいい、と思っていた。

 最初はみんな使いやすいからボールペンなんだけどそのうち墨を使い出すんだよ、どういうペンがいいんでしょう、そんなの作ればいいんだよ割り箸を削ったりさ、墨は何でもいいんだよ、ふぅん・・・。

 話を聞いた前の日、たまたま丸善でパーカーの試し書きできるイベントに行ったのは、何かそういうタイミングだったのかもしれない。ワー、楽しい! 書きごこちがいいなぁ。楽しくなっていっぱい書いた。黒も青も紺も。万年筆はペン先がつぶれると修理が必要で、メンテが面倒だと思っていたが、この書きごこちは何にも代え難いものがあった。ボールペンのボールが木の上に転がって少し削れる音が好きで使っていたけど、紙の上をすべるように書かれる万年筆もいい。パーカーは母が使っていたものだった。

 その数日後、作家のIさんからクリスマスにと鉛筆をもらった。NYのDia:Beaconで買ったものだという。黒くてCOOL。すぐにでも描かれたがっているように見えた。

 クリスマスカードを贈った作家のKさんからメールが来て、最近、京都にちょくちょく行くようになって墨に興味が出てきた、と。今度詳しく話きかせて!

 作家のMさんが好きだというので行ったリヒター展では、鏡の作品を作りたいと思っていたところだったので、アクリルにラッカーという作品をじろじろ観た。アクリルでもいいのか、これは何を使っていて、裏はどうなっているのか。
 
 何かないか何かないかとウロウロして見つける、こんなふうに来歴があるほうがわたしにはしっくりくる。石にも俳句を「詠んでやって従者にしてしまっている」(司馬遼太郎)子規と同じ。

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パーカーのカタログ、万年筆の試し書きした紙、Dia:Beaconの鉛筆

追記)
ぼかして書いたが先様より写真掲載のおしらせが・・・。年末にスゴイことがあったものだ、ちょっと震えている。ギャラリーのご亭主は中之条のご出身とうかがっていたので、ビエンナーレのフライヤーを差し上げたのだ。
ギャラリーときの忘れもの ブログhttp://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53209348.html
じゃ、いいのかなと思って公開するツーショット。後ろは40年前の端島(通称軍艦島)の写真。新刊にサインをいただき、こちらのご報告も申し上げた。
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