67年ぶりの大雪の翌日、札幌に行った。
六花文庫は、本がたくさんあって、暖炉にくべた松ぼっくりがパチパチいう音だけが聞こえて、ずっとずっといたくなった。毎日だって通いたい、いや、いっそここに住む! 作品が展示・保管されている様子を見るのにちょっと寄るだけと思っていたけど、結局3時間も長居をしてしまった。本はいいなぁ。
池澤夏樹の本がたくさんあって、そうだ、『静かな大地』は静内の話だもんな、と思ったけど、そもそも北海道出身だったっけ。ひさしぶりに『きみが住む星』を読む。なんでもないようだけど夢中になる。こんな手紙を書きたいなと思う。蛍の木は別の人の小説に出てきたような気がする、そうじゃなくて三好さんの写真だっけ? 少しだけ知った人ともう少し話しをしたいと思ったときにコーヒーでもと言ってみるようになったのは、池澤夏樹に教わったから。
チョコレートの歴史という本の背表紙を見ているうちに、ダールの本はないのかな、と思うと、やはりある、ちょっと棚が離れたところに。
ぐりとぐらを見ると、そうだ、と、しろくまちゃんを思い出す、と、3冊隣りにある、ある。どっちとも卵が割れちゃう話。卵って割れちゃうし、楕円形だし、おもしろいもの。
小説の中のグルメを集めた棚で見つけた『失われた時を求めて』の写真集を開く。わたしにとってはUさんの本だ。今年のクリスマスにどうかなと思うけど、Uさんはこういうのはもはや興味深いとは思わないかもしれないなとも思う。最近読んだ柴田さんの本もある。高野さんの日本の中の異国の本のデザイン、最初に目に飛び込んできた。
杉浦日向子の本をソファで。『食・道・楽』。愛用の酒器の写真がすてき。お正月もいい盃でお酒を飲んでるだけ、という。わたしもお酒が飲めたらなと思う。たまに作っているのはふわふわ豆腐。作っているといえば、石井好子のオムレツ。ああ、これもある! 須賀敦子は『ユルスナールの靴』。どんな食べ物が出てくるのだっけ? 秋に行った展示で、松山巖が須賀さんがオッソブーコを振舞ってくれたと言っていた。
そんなふうに楽しくなっちゃって、あっというまに3時間。
本は、旅。旧知の友だちと会う旅。本の中身だけのことじゃない、その本を読んだときの記憶と深く結びついていて、そのことを思うのも本の楽しみ。
六花ファイル第6期入選 www.rokkatei.co.jp
六花亭の文化施設「六花文庫」にて
1人1箱 箱に収まるサイズのアート作品を1年間展示・保管するもので、
今期は、25人の入選作家の作品がご覧いただけます。
わたしの作品は、本の形の作品≪線のおはなし≫です。
期間:2015年10月1日~2016年9月30日
場所:六花文庫
〒005-0012 札幌市南区真駒内上町3丁目1-3 六花文庫
TEL&FAX:011-588-6666(10:00〜17:00)
休館日 12月〜3月:日・月・火/4月〜11月:日・月
アクセス http://www.oda-kikin.com/access.html
入館無料
「食」に関する本8000冊が収蔵されているライブラリーです。
箱の中のアート 暖炉に火 手袋をして一つ一つ手にとって鑑賞できる
ソファとオリジナルの刺繍がされたひざ掛けと作品≪線のおはなし≫ 後ろに見えるのが「食」に関する本を集めた書棚
「六花ファイル 第6期収蔵作家作品展」として、来夏、展示をさせていただくことになりました。
場所:六花亭福住店(札幌市)
会期:2016年8・9月の2ヶ月間 会期中無休