人間が人間を観る悦楽~TAT2015

 TATのオープニングの日、服飾学校の生徒によるファッションショーが路上であり、そのままモデルが服を着たまま学校の生徒の展示会場に入った。通常の日はマネキンを設置してあるのだが、この日だけはモデルを配置した、とのこと。

 モデルは特有の視線を持っていて、こちらを見ていない、つまりどこかあらぬ方を見て、存在自体異質な人間が、展示会場の中でまさに展示の一部になっていて、それにとても興奮した。

 生身の人間を見ることがこんなに興奮を与えるのかと思った。
 シュールな時空間で、まさにリアル江戸川乱歩。

 乱歩の小説で、リアルな等身大の人形を配置した博物館を作って、お客さんが「わぁ、生きてるみたいですね」とびっくりして思わず触ると実は本当の人間で、という話がある。

 乱歩といえば、先日平塚市美術館のギャラリートークで、この村山槐多の作品は乱歩が書斎にずっと架けて愛してやまなかった、と話があった≪二少年図≫。人を見ることの特殊な快楽。

 人間を描いた絵が古来世にあふれている意味がはじめてわかった。

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TATココノガッコウの初日の展示の様子。とにかくドキドキした。