SICF16で、下絵は作らないで即興でどんどん描いていくんですよと話したあとに、今度中之条では壁に直接描くので今はその準備をしています、と話すと、「準備ってナニしてるんですか?」と訊かれた。
一瞬、えっと思った。下絵がないのに、ナニやってるんだろうって思われたのかな、と思った。下絵がないからって、適当にやってるわけじゃないんだけどな。
私の制作はスポーツのようなものだ。毎日、素振りを欠かさない。でもたまには練習試合にも出ないと試合の感じがつかめない。だから本番の試合の前に実戦に臨む。そうすると、ああこんな感じだな、と身体で知る。いろいろ戦術を試してみる。強豪校の試合を見て勉強する。戦略やルールの本を読む。OBやプロの話を聞く。
具体的に言うと、今、アトリエの壁で練習をしている。毎日小さいノートには描いているし、SICF用に1m四方の作品を制作はした。けど、壁に描くとなると、垂直だし、広いし、身体を大きく使う。いつも使う身体の部位が違う。木の作品は天地を決めないで描いているけど、さすがに逆立ちして描くわけにいかない。ペンも違う。だから今、準備しているのは、つまり、練習試合みたいなものだ。
それと昨夜は、家で寝袋で寝てみた。現地制作するのにレジデンスに泊まる予定だけど、もしかしたら現場で寝袋で寝るかもしれないと思っている。床には何か敷かないと痛くなっちゃうの? どれぐらいの寒さなんだろう? 快不快のグラデーションを知っておきたい。これは予行練習。
あとは、現地に行ってその場に慣れたいところだけど、こればかりはちょっと行くわけにいかない。アウェイだと思ってやろう。
ほら、ね? スポーツみたいでしょ?