変身

おれはジャコウネズミじゃないけれど、昼間と夜は別の世界に棲息している。昼間はまことに固いある雑誌社の編集部の床を這い回り、ケシゴムなどを拾っているが、夜になると「カモメが翔んだ!」と叫び、「本の雑誌」の編集長になってしまうのである。
        『さらば国分寺書店のオババ』椎名誠

 昼と夜の変身。わたしも制作するときは変身すると思う。先日書いたステートメント。

数年前、ふとしたことから「ノート」を書きはじめた。
大抵のことはゼロ日坊主で始めもしないのに、これだけは面白いのか毎日続いている。
日記でもなくスケッチブックでもなく、ただ、思ったことをどんどん書くノート。
文字も線もいっぱい書くこともあれば、何も書けないときはページに○一つのことも。
これをもっと大きく描きたいなと思って、作品にした。
線を描くこと、それはわたしにとって瞑想だ。
描くとそこから連想することもあれば、飛躍することもある。
描く間、自分が変身するのを感じる。

 『世界で一番美しい森への旅』にジャコウネコが出てきた。え、これがジャコウネコなんだ。椎名誠が言ってたやつか!・・・いやあれはジャコウネズミだ。じゃあムーミンに出てくるいやみなあのけむくじゃらは・・・、あれもジャコウネズミか!うむむぅ。じつは私は小さな動物がコワイので、これ以上詮索するのはよしたが、ジャコウネコとジャコウネズミでいろいろ思い出した。こういうのはナニが面白いかと言えば、一つのことから連想したり、飛躍したりすることが面白いのだ。一つのことから、多方面に思考を飛ばすのは楽しい。制作も同じ。

 変身することを考えよう。いろいろコンセプトやらアイディアを考えると横道へそれていく。変身すること。変身すること。変身することは面白い。

☆今日のアナログハイパーリンクな読書
『さらば国分寺書店のオババ』・・・『世界で一番美しい森への旅』・・・ムーミン