アーティスト・イン・レジデンスをめぐる話 ~中之条への道(0)

 中之条ビエンナーレは、現地制作、アーティスト・イン・レジデンス(AIR)があって、それが今とても楽しみだ。

 結構前のことだけど、中上紀が海外でのライター・イン・レジデンスのことをエッセイで書いていて、それは英語以外の言語つまり現地語で少数の人に向かって作家が書いていることについて書かれていて、世界中でたくさんの作家がそれぞれの場所でそれぞれの言葉で書いていて、たまたまここで何人かが一緒に暮らしながら書いている、その様子を想像するとなんだか温かな気持ちになって、レジデンスの印象がとてもいいものになった。

 たしかカズオ・イシグロもレジデンスプログラムに参加していたように思う。村上春樹も。アメリカには作家が大学に滞在して書くというプログラムがあるそうだ。

 そのあと、3331のスカラシップ賞で3331がAIRへ推薦してくれるという副賞があって、それで急に自分の問題として興味が高まった。どういうのがあるのか調べたり、WSに参加したりした。

 そういえば、これはもっともっと前のこと、ある美術作家の展覧会のトークイベントで、彼女は、フランスの田舎のレジデンス・プログラムに行き、デジカメがまだ珍しかったころで、「今撮ったものがどうしてここ(液晶)に出るのか?」などと聞かれたと話していた。行く前にあらかじめ、昨年の参加者に電源は使えるのか現地の様子を聞きにいった、と。私は、そうか、そういうときは、前に参加した人に話を聞くんだな、と刷り込まれた。そんなことがあって、参加したことがある人や一緒に参加する人に様子を聞くことができるようになったと思う。前はそんなことできなかった。他人と自分は違うんだし、とか思ってた。今では、ちょっとしたことも無造作に聞いたりして、相手に驚かれたりする。

 大竹伸朗の『ビ』を読むと、海外で滞在制作する話がよく出てくる。こんな感じなのかなぁと勝手に想像をふくらませている。会場が決まったので、中之条にまずは一度行ってみようと思う。

☆今日のアナログハイパーリンクな読書
中上紀・・・カズオ・イシグロ・・・村上春樹・・・大竹伸朗『ビ』