自然は面白い 元気になる

保坂和志『猫の散歩道』 ひとつひとつの文章を読むあいだに、あ、そうだ、思い出したことがある、あのことを言いたい、と胸のうちが広がっていく。だから、書くのが追いつかない、でも書きたい。

森の道はただ歩いているだけで、子供時代の冒険心が戻ってきて、途切れなくずうっと面白かった。地面が滑るのだって面白い。倒木を跨ぐのも、葉っぱを掻き分けるのも、崖のような斜面の上を緊張しながら歩くのも、全部面白い。視界が開けた瞬間はさらにうれしい。自然は言葉を越えて面白くて、みんなで元気になって帰ってきた。

先日、逗子に行った。古墳だった山を一人で登っていくと、これがわりと本格的なハイキングで、どんぐりがいっぱい落ちていて、わっと思った。ちょっとポケットに入れておきたくなる。それで急な坂道でこっちの道で本当にいいのかな、というぐらい人に会わないし、地図もないので心細くなっていたら、「頂上までもう少し」というプラカード、さらにいくと急に開けて、真正面に富士山が見えた。うわ。誰もいないのでわたしは一人ねっころがっていたら、急にガサっと物音がして思わず大声を出して見るとサイクリングの若い外人だった。コンナトコロにヒトが、お互いにビックリして、ごめんなさいと笑ってしまった。少し後に、若い女の子が来た。「めっちゃきれい。あれ富士山ですか?」と聞く。京都から来たそう。そうだよな、富士山に決まってるけど、こんな間近にでっかい山が急に出現するから現実感がないよな。それで京都から来たとか言ったんだろうな、わかるよ、なんか。足の先に海と富士山が見えて、ずいぶんゆっくりしていた。とにかく面白く、海と山を見てなんだか元気になって電車で帰った。

ということを思い出す。

☆今日のアナログハイパーリンクな読書
保坂和志『猫の散歩道』←好きなので別に元リンクはない。しいて言えば保坂和志bot