返事に困る質問

いつも「なぜ」を説明しなくちゃいけないのがマイノリティの側、というのがわたしの義憤だが、まさしくマイノリティ(なにしろ一人しかいないんだから)で、このことばかり質問されて返事に困る、と書くリービ英雄。日本人なら日本語で小説を書いてもなぜと聞かれないのに、彼は必ず聞かれる。わたしもよく「なぜ絵を描こうと思ったの?」「いつから描いていたの?」と聞かれて、なんで描いちゃいけないの?、ただ描きたいと思ったんだよ、子どものころからみんな描いてるんじゃないの? やってみたら絵も才能があったんですフフン、とそのときどきによって適当に答えるけれど、本当はもっといろいろ複雑で一言では答えられないように思う、一方で、別にそんなこんがらかったようなことはなくてシンプルなもののようにも思うし、自分でもわからないことだとも思う。

それにしても、絵のことに入る前にそんな質問で足を止められるのが鬱陶しいし邪魔だと思ってきたけど(だって、そういうのを経てやっとスタートラインなんだから!)、リービのことを考えると、みんなも少ないながらもそういう部分を持っているから、「越境」に興味をひかれるのかもしれないなとも思う。どうだろう。

こう書いていて思いつく、最初はマイノリティ、やがてパイオニア。

☆今日のアナログハイパーリンクな読書
温又柔→リービ英雄『星条旗の聞こえない部屋』