小説の人名で思い出す

『ボラード病』を読んでいて「藤村先生」というのが出てきて、ふと島崎藤村のことを連想した。トウソン先生とラジオから聞こえた、と書いていたのは山室静だったと思う。それとも山室静がそうラジオで言ったのだったっけ? それで『破戒』のことを思った。あれにもいなくなってしまう先生が出てくるから。

『水丸劇場』所収の小説「西陽」に鬘会社を見学に行く作家の名前が瓜連了。うりつらりょうなんて、なんでまたこんな、と思う。『日出る国の工場』の工場見学のスピンオフで、村上春樹は笠原メイという女の子を作り、安西水丸は瓜連了を作った。と思うとなんだかおかしい。水丸さんの本名も出てくるし。安西水丸の絵は『ランゲルハンス島の午後』で初めて観て、あの赤い色がとてもいいと思う。電車で前の座席に座っている人を観察するとき、いつも思い出す。

☆今日のアナログハイパーリンクな読書
アーティストKさん→吉村 萬壱『ボラード病』→島崎藤村『破戒』
安西水丸『水丸劇場』→村上春樹・安西水丸『日出る国の工場』
安西水丸『水丸劇場』→村上春樹『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』